2026年6月、JR札幌駅から地下街で直結する地上26階の高層シティホテル「ハイアットセントリック札幌」が、北一条西5丁目のアーバンネット札幌リンクタワー17–26階に開業する。北海道初のハイアットセントリックは、欧米2回目訪日客が道東・道北アドベンチャー旅行の前後拠点として選ぶ新基準となる可能性が高い。本稿は、開業直後の宿泊レビューを編集部の視点から先取りし、札幌都市文化と北海道広域への二面性を1軒で語る試みである。

※ 開業前情報は事業者公表値(NTT都市開発・ハイアット)に基づく。実際の客室仕様・料金・運営内容は変更される場合がある。

1. ハイアットセントリック札幌 — 札幌市中央区

札幌駅地下街で直結する26階建ての17–26階。北海道アドベンチャー旅程の「最初と最後の1泊」を、欧米基準のホスピタリティで設計した一軒。

HotelPicks Score: 82 / 100  216室(スイート9室含む)、シティホテル(ラグジュアリーライフスタイル)。

目安価格 ¥45,000–¥85,000 / 泊 (2名1室・開業時の想定価格帯)


ハイアットセントリック札幌 — 札幌市中央区・北一条西5丁目 ・26階建てアーバンネット札幌リンクタワーの17–26階を占める2026年6月開業の高層シティホテル
PHOTO: アーバンネット札幌リンクタワー外観イメージ(NTT都市開発) — 公式サイトを見る →

なぜ「都市基地」として推せるのか

札幌の宿は古くから「観光の起点」として位置づけられてきたが、ハイアットセントリック札幌は明確に「アドベンチャー旅行の前後拠点」を志向している。理由は3つに分けて説明できる。

第一に、立地。アーバンネット札幌リンクタワーは地下2階で北一条地下駐車場と公共地下歩道に接続し、札幌の地下歩道網(チカホ)を通って大通駅とJR札幌駅へ屋内アクセスできる。これは6月の急な雨も、12月の吹雪も、スーツケースで濡らさず移動できることを意味する。富良野・美瑛・知床いずれの長距離移動の前夜・最終夜にも、空港バス・JR両方の遅延リスクを最小化する。

第二に、規模と運営。全216室(うちスイート9室)という規模は、ライフスタイル系では中規模に位置する。客室は17階以上の高層階に集約され、札幌スカイラインへの眺望が確保される。運営はNTT都市開発ホテルマネジメントが受け、ハイアット側はブランド標準のレベニュー・サービスを供給する構造で、外資ブランドのホスピタリティと国内大手デベロッパーのオペレーション安定性が同居する。

第三に、欧米リピーター需要への適合。ハイアットの世界共通の予約UX(World of Hyatt)、英語応対前提の運営、そしてセントリックブランドが標榜する「街のキュレーター」コンセプトは、訪日2回目以降の旅行者—すなわち東京・京都を一度経験し、次は北海道広域を狙う層—の旅程設計に自然に組み込まれる。

建築とアーバンネット札幌リンクタワーという母体

建物は地上26階・地下2階、高さ約110.9メートル。NTT都市開発が、北海道放送(HBC)旧本社跡地に開発した複合施設で、低層階に商業、中層に賃貸オフィス、高層階にハイアットセントリックを配置している。設計監理は大成建設、ホテル部分のインテリアはBOND DESIGN STUDIOが担当した。

注目すべきは、敷地面積約4,606㎡・延床約60,902㎡というスケールに対し、ホテル区画が17–26階の高層部に集約されている点である。公共動線・バックヤード・F&B施設に十分な面積が割けることを意味し、ライフスタイル系ホテルとしての体験密度の高さに直結する。公共動線・バックヤード・F&B施設に十分な面積が割けることを意味し、ライフスタイル系ホテルとしての体験密度の高さに直結する。

建設当初は2024年開業予定だったが、施工途中で15階まで組み上げた鉄骨に施工不良が判明し、解体・再建が行われた経緯がある。この2年余りの遅延を経て、2026年6月の竣工に至った。逆説的には、構造体の点検が極めて徹底されたビルでもあると言える。

アーバンネット札幌リンクタワー — 大通公園側からの外観イメージ。低層に商業、中層オフィス、高層17–26階にハイアットセントリック札幌を配置する複合施設
PHOTO: 完成予想図(NTT都市開発・大成建設・BOND DESIGN STUDIO)

滞在の体験 — 全216室と高層階F&B

客室は3カテゴリーで構成され、最上位にスイート9室を擁する。多くの客室から札幌の都市スカイライン、晴天時には石狩平野の先まで眺望が広がる設計である。セントリックブランドは「地域文化を泊まりながら吸収する」ことを標榜しており、客室内装には北海道のクラフトや素材感を取り入れたBOND DESIGN STUDIOによる室礼が予告されている。

F&B はレストラン&バーが1施設で、北海道の食材を主役にしたメニュー構成。ライフスタイル系ホテルの常で、宿泊客以外の地元・出張客も巻き込む設計が想定される。ほか、フィットネス施設と多目的イベントスペース、低層階商業区画には飲食・食物販を計11区画備える。「ちょこっと寿し 季わ美」「居酒屋ふる里」が先行発表されており、滞在中に階下で完結する地元食シーンが用意される。

編集部の見立てでは、最も印象に残るのは2点。1つ目はチカホ直結による「靴を濡らさずに札幌駅着」の体験。2つ目は朝食—北海道ホテルにおいて朝食は事実上の格付け要素であり、ハイアットセントリックのバーがそのまま朝の地産食材プラットフォームになる構造は、グループの近年の朝食設計の流れを汲む。これは、2020年開業のハイアットセントリック金沢が4.66の高評価を維持している主要因とも符合する。

欧米リピーターから見た札幌の位置づけ

訪日2回目以降の欧米客にとって、北海道は「東京・京都を一巡した後の次の答え」として急速に存在感を増している。札幌はそのゲートウェイであり、6月のライラック祭・YOSAKOIソーラン祭、9月の知床ヒグマシーズン、2月の雪まつり、3月のニセコパウダー—といずれの旅程でも、移動・休息・装備買い足しの拠点として札幌1泊が組み込まれやすい。

ハイアットセントリック札幌が解くのは、これまで札幌都心の選択肢が「老舗大型シティホテル」か「インバウンド向け新興ブティック」の二極だった構造である。World of Hyattのロイヤリティに加え、ハイアットセントリック金沢で実証された英語ホスピタリティ・地元文化キュレーション・スマートな客室設計—これらをそのまま札幌に持ち込む。欧米2回目訪日客に向けた「都市基地」という、これまで札幌に明示的に存在しなかったポジションを、開業日から占めることになる。

立地と周辺 — 札幌駅・大通・大通公園を10分圏で結ぶ

所在地は札幌市中央区北一条西5丁目。地下鉄大通駅から徒歩6分、JR札幌駅から徒歩10分(地下歩道経由)。北海道庁旧本庁舎、北海道大学植物園、大通公園が徒歩圏内に揃う。サッポロビール園・狸小路・札幌ファクトリーは地下鉄1駅、新千歳空港から快速エアポートで札幌駅まで37分。富良野・美瑛・知床方面のJR特急もすべて札幌駅起点で、旅程の組み立てやすさは道内随一である。

アーバンネット札幌リンクタワー — プロジェクト全体像。札幌市中央区北一条西5丁目、HBC本社跡地に建つ複合施設のイメージパース
PHOTO: プロジェクトイメージパース(NTT都市開発)

こんな旅人に

  • 向く:
    欧米2回目訪日でこの夏に道東・道北アドベンチャーを組む旅行者、World of Hyattロイヤリティを使う出張・記念日旅、雨天・降雪時に屋内動線で動きたい中高年カップル、札幌都市文化(ライラック祭・YOSAKOIソーラン祭)と広域旅行を1拠点で両立したい人
  • 向かない:
    温泉旅館の様式が目的の旅行(札幌中心部に温泉は出ない)、開業3ヶ月以内の運営の試行錯誤期を避けたいリスク回避型の旅、すすきの夜の繁華街徒歩圏が条件の出張(地下鉄1駅の距離はある)

具体情報

  • 所在地: 北海道札幌市中央区北一条西5丁目1番4
  • 最寄り駅: 地下鉄大通駅から徒歩 6 分/JR札幌駅から徒歩 10 分(地下歩道経由・屋内アクセス可)
  • 客室数: 全216室(スイート9室、ほか3カテゴリー構成)
  • フロア: 地上26階・地下2階建ての17–26階および低層階の一部
  • 建物高さ: 約110.9メートル
  • F&B / 施設: レストラン&バー1、フィットネス施設、多目的イベントスペース
  • 開業: 2026年6月(竣工) — ハイアット側は秋頃の正式ホテル開業を案内
  • 運営: NTT都市開発ホテルマネジメント(ハイアットブランド供給)
  • インテリア: BOND DESIGN STUDIO
  • 新千歳空港から: 快速エアポートでJR札幌駅まで37分、その後地下歩道で屋内アクセス

HotelPicks Score の内訳

82 / 100。本作はブランド標準と立地で稼ぐ基本性能型の評価である。同ブランドの近接事例であるハイアットセントリック金沢(2020年開業)の公開レビュー集計傾向がスコア基底に反映されており、立地適合(札幌駅地下街直結)と編集部によるブランドキュレーション能力評価が編集ボーナスとして加算されている。開業から半年後の実宿泊レビュー蓄積によって、Score 85–88レンジへの上方修正可能性は高いと編集部は見ている。


↕︎ 地図右下の角をドラッグすると高さを調整できます

よくある質問

Q. 2026年のいつから泊まれますか?

A. NTT都市開発の公表では建物竣工が2026年6月。ハイアット側の英文ページは「Fall 2026 Opening」と案内しており、ホテル開業日と建物竣工日は同期しない可能性がある。最新の予約開始日はハイアット公式予約ページで確認するのが確実である。

Q. 札幌駅・大通駅から濡れずに辿り着けますか?

A. はい。アーバンネット札幌リンクタワーは地下2階で北一条地下駐車場と公共地下歩道に直結し、札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)を経由してJR札幌駅・地下鉄大通駅まで屋内で結ばれる。雨天・降雪時もスーツケースを濡らさずに移動できる。

Q. 客室数とスイートの内訳は?

A. 全216室で、うちスイートは9室。残り207室は3つのカテゴリーで構成される。多くの客室は17階以上の高層階に配置され、札幌スカイラインへの眺望が確保される。

Q. 道東・道北のアドベンチャー旅程の前後拠点として、なぜ良いのですか?

A. 札幌は北海道広域旅程の関節点で、新千歳空港から快速で37分、富良野・美瑛・知床方面のJR特急もすべて札幌駅起点となる。本宿はチカホ屋内動線で札幌駅と結ばれるため、雨・雪・荷物・遅延いずれのリスク条件下でも前後1泊の拠点性能が高い。

Q. ハイアットセントリック金沢との違いは?

A. 立地条件と都市規模が異なる。金沢は北陸新幹線駅から徒歩3分の253室の中規模、本宿は札幌駅から地下街経由で徒歩10分の216室の高層型。共通点は、ハイアットセントリックブランドの「地域文化キュレーション」と英語ホスピタリティ。金沢の公開レビュー集計が4.66と高水準であることから、本宿の運営標準にも一定の信頼が置ける。

Q. 欧米客に偏った宿ですか?日本人旅行者は?

A. 運営はNTT都市開発ホテルマネジメントが受ける国内大手系で、国内出張・記念日旅行・札幌都市文化観光いずれの目的にも適合する。インバウンドに偏った設計ではなく、地元の食シーンを巻き込んだF&B構成・地下歩道直結という条件は、日本人旅行者にも明確な利便性がある。

本記事の参考情報

・Hyatt Centric Sapporo 公式 — ホテル仕様・開業案内
・NTT都市開発「アーバンネット札幌リンクタワー」 — 建物デベロッパー公式
・Wikipedia: 札幌市 — エリアの地理・歴史的背景

編集部から

2026年6月、札幌駅前再開発の主軸ともいえる新ホテルが、ようやく開業を迎える。施工不良による2年余の遅延を経たこと、北海道初のハイアットセントリックであること、欧米2回目訪日客の「広域旅程の関節」を解く構造を持つこと—この3点はいずれも、北海道の都市型ホスピタリティの転換点として記録に残るだろう。本宿のスコアが開業から半年後・1年後にどう動くか、HotelPicks編集部は同ブランド金沢の評価軌跡と並べて継続観測する。読者諸氏が初夏の札幌で本宿に泊まったら、その印象が金沢の体験とどう違ったか、次の北海道の旅程設計に映してみてほしい。

次に読むなら