城崎温泉を浴衣で歩き、七つの外湯を巡る旅に合う小規模旅館として、編集部が選んだ円山川左岸・木屋町通り界隈の 6 軒を紹介する。開湯1300年、志賀直哉『城の崎にて』を生んだこの温泉地は、浴衣のまちを都市計画に据えた全国でも稀有な存在である。宿の浴衣で外湯に通い、夜は湯けむりの石畳を、朝は温泉卵と文学碑を巡る——2026年8月の盛夏、夕涼みの外湯動線が本領を発揮するこの季節に、徒歩圏で完結する家族経営の老舗を厳選した。

# 旅館 エリア Score 客室 目安価格 1行特徴
1 西村屋本館 城崎・木屋町 94 34 ¥173–¥224k 創業165年、登録有形文化財の格式高い老舗
2 三木屋 城崎・湯島 93 16 ¥68–¥108k 志賀直哉『城の崎にて』ゆかりの文化財の宿
3 小林屋 城崎・一の湯前 91 14 ¥75–¥106k 柳並木と一の湯を望む、若い世代に人気の宿
4 山本屋 城崎・湯島 90 20 ¥51–¥59k 温泉街の中心、外湯巡りに至便な老舗
5 ときわ別館 城崎・桃島 90 23 ¥50–¥60k 奥座敷に佇む、静かに籠もれる部屋食の宿
6 川口屋本館 城崎・桃島 90 13 ¥20–¥47k 大谿川河畔、貸切露天と手頃な価格が魅力
↕︎ 地図右下の角をドラッグすると高さを調整できます

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。地図上の小さな「湯」印は七つの外湯の位置を示す。

1. 西村屋本館 — 城崎・木屋町

創業165年、登録有形文化財。城崎の格式をひとつの宿に凝縮した、編集部が真っ先に推したい老舗。

HotelPicks Score: 94 / 100  34室、料理旅館。

目安価格 ¥173,000–¥224,000 / 泊 (2名1室・通常期)


西村屋本館 — 城崎温泉・木屋町 · 創業165年、登録有形文化財の数寄屋造り老舗旅館
PHOTO: 西村屋本館 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

安政期に創業し、城崎を代表する宿として歩んできた一軒。数寄屋造りの本館と回遊式の日本庭園が登録有形文化財に指定され、館内を歩くだけで温泉地の歴史に触れられる。木屋町通りの中心に位置し、七つの外湯のほとんどが徒歩数分。但馬の食材を生かした会席、専属仲居の細やかな運営、文化財建築の三拍子が揃う点が、編集部の評価を押し上げた。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、建築と庭の風格、料理の完成度、仲居の対応への評価が突出して高い。記念日や節目の滞在に選ばれる傾向が見て取れ、静けさと格式を重視する層からの支持が厚い。一方で価格帯は城崎で最上位にあり、気軽な一泊というより特別な一日のための宿として位置づけられている点も読み取れる。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 記念日・節目の滞在、文化財建築と日本庭園を味わいたい旅、格式ある会席を求める大人二人旅
  • 向かない: 予算を抑えたい旅程、幼児連れで気兼ねなく過ごしたい家族、外湯巡りより館内設備を重視する人

具体情報

  • 最寄り駅: JR城崎温泉駅から徒歩 約10分(送迎あり)
  • 外湯: 一の湯・御所の湯まで徒歩数分、七つの外湯すべて徒歩圏
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 但馬の味覚を生かした会席(夕食・朝食)
  • 創業: 1861年(安政・万延期)/登録有形文化財


2. 三木屋 — 城崎・湯島

志賀直哉が逗留し『城の崎にて』を書いた、昭和2年築の登録有形文化財。文学好きが真っ先に思い浮かべる一軒。

HotelPicks Score: 93 / 100  16室、料理旅館。

目安価格 ¥68,000–¥108,000 / 泊 (2名1室・通常期)


三木屋 — 城崎温泉・湯島 · 昭和2年築、志賀直哉ゆかりの登録有形文化財旅館
PHOTO: 三木屋 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

大正2年、志賀直哉が約3週間逗留し『城の崎にて』を執筆した宿として知られる。北但大震災で倒壊したのち昭和2年に再建された木造建築と300坪の日本庭園が登録有形文化財に指定され、2013年の改修で歴史とモダンが融合した。文学碑や直筆ハガキを今も館内で見られる点は、ほかにない体験である。木屋町通りに面し、外湯巡りの起点としても申し分ない。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、文化財建築の趣と庭の静けさ、リニューアル後の快適さを両立した点への評価が高い。文学に惹かれて訪れる層と、上質な和の空間を求める層の双方から支持を集めている。客室数を絞った運営ゆえ落ち着いた滞在が叶う一方、人気ゆえ週末や繁忙期は早くから埋まる傾向も見て取れる。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 文学・建築に関心のある旅、静けさを優先する大人二人旅、和の様式を体験したい海外からの旅行者
  • 向かない: 大浴場の規模を重視する人、にぎやかに過ごしたいグループ、直前の週末予約を狙う旅程

具体情報

  • 最寄り駅: JR城崎温泉駅から徒歩 約7分
  • 外湯: 一の湯・御所の湯へ徒歩数分、七つの外湯すべて徒歩圏
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 但馬の食材を用いた会席(夕食・朝食)
  • 創業 / 再建: 昭和2年(1927年)再建/登録有形文化財・2013年改修


3. 小林屋 — 城崎・一の湯前

柳並木の向こうに一の湯を望む立地。若い世代の感性で老舗を更新した、城崎の今を映す一軒。

HotelPicks Score: 91 / 100  14室、料理旅館。

目安価格 ¥75,000–¥106,000 / 泊 (2名1室・通常期)


小林屋 — 城崎温泉・一の湯前 · 柳並木沿いに建つ登録有形文化財の小規模旅館
PHOTO: 小林屋 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

城崎の中心、柳並木と大谿川に面し、客室から外湯「一の湯」を眺められる稀有な立地が魅力。登録有形文化財の建物を生かしつつ、若い世代の運営によってカフェやしつらえに現代的な感性が加わり、城崎の老舗のなかでも新しい風を感じさせる。外湯巡りの起点として申し分なく、浴衣で街へ繰り出すのに最適な一軒として編集部が推す。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、立地の良さと、伝統と現代性のバランスへの評価が高い。文化財建築の趣を残しながら居心地よく整えられた空間が、初めての城崎にも、リピーターにも受け入れられている。客室数を絞った小規模運営ゆえの距離感の近さも好まれる傾向にある。一方で規模を求める旅には物足りなさが残る点も読み取れる。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 街の中心で外湯巡りを満喫したい旅、伝統と現代性の両立を好む二人旅、城崎が初めての人
  • 向かない: 大規模な館内施設を望む人、静かな奥座敷を求める旅、大人数のグループ滞在

具体情報

  • 最寄り駅: JR城崎温泉駅から徒歩 約8分
  • 外湯: 一の湯が目の前、柳湯・地蔵湯へも徒歩数分
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 但馬牛・日本海の幸を用いた会席
  • 建物: 登録有形文化財/若い世代による運営更新


4. 山本屋 — 城崎・湯島

温泉街のど真ん中、外湯巡りに最も至便な老舗。手頃な価格で城崎の王道を味わえる一軒。

HotelPicks Score: 90 / 100  20室、料理旅館。

目安価格 ¥51,000–¥59,000 / 泊 (2名1室・通常期)


山本屋 — 城崎温泉・湯島 · 温泉街中心に建つ外湯巡りに至便な老舗旅館
PHOTO: 山本屋 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

温泉街の中心に位置し、七つの外湯のいずれへも徒歩圏という立地の良さが第一の魅力。家族経営の老舗らしい温かな運営と、但馬牛や日本海の幸を生かした会席を、城崎としては手頃な価格で味わえる。浴衣で外湯を巡り、夜は街歩きを楽しむという城崎の王道を、過不足なく叶えてくれる一軒として選んだ。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、立地の良さと、価格に対する満足度の高さが目立つ。家庭的な接遇と外湯巡りのしやすさへの評価が安定しており、初めての城崎で外さない宿を探す層に向く。豪華さより居心地と利便性を重視する旅に適した一軒である一方、特別感を最優先する滞在には上位の宿が向く傾向も読み取れる。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 外湯巡りを主役にしたい旅、価格と利便性のバランスを重視する人、家庭的な宿を好む旅行者
  • 向かない: 最上級の格式や特別感を求める旅、広い館内設備を望む人

具体情報

  • 最寄り駅: JR城崎温泉駅から徒歩 約7分
  • 外湯: 温泉街中心、七つの外湯すべて徒歩圏
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 但馬牛・日本海の幸を用いた会席
  • 運営: 家族経営の老舗


5. ときわ別館 — 城崎・桃島

温泉街の奥座敷に佇み、部屋食で静かに籠もれる宿。喧噪を離れて城崎を味わいたい人に向く一軒。

HotelPicks Score: 90 / 100  23室、料理旅館。

目安価格 ¥50,000–¥60,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ときわ別館 — 城崎温泉・桃島 · 奥座敷に佇む全23室の部屋食の温泉旅館
PHOTO: ときわ別館 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

温泉街の奥側、鴻の湯やまんだら湯に近い静かな一角に佇む。全23室で部屋食を基本とし、喧噪から離れて静かに籠もれる滞在が叶う。家族経営らしい行き届いた運営と落ち着いた客室が魅力で、にぎやかな街歩きより、湯と食、そして静けさを味わいたい旅に向く。盛夏の夕涼みに、人混みを避けて外湯を巡りたい人に推したい一軒。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、静かな立地と部屋食の落ち着き、家庭的な接遇への評価が高い。喧噪を避けてゆっくり過ごせる点が繰り返し支持されており、外湯巡りと静養を両立したい層に向く。中心街からはやや歩く立地のため、街のにぎわいの只中に身を置きたい旅には別の宿が合う傾向も見て取れる。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 静かに籠もりたい旅、部屋食でゆっくり過ごしたい二人旅、人混みを避けて外湯を巡りたい人
  • 向かない: 街の中心で常ににぎわいを感じたい旅、外湯まで最短距離を求める人

具体情報

  • 最寄り駅: JR城崎温泉駅から徒歩 約13分(送迎あり)
  • 外湯: 鴻の湯・まんだら湯へ徒歩数分、さとの湯にも近い
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 部屋食中心の会席(但馬の味覚)
  • 客室: 全23室、奥座敷の静かな立地


6. 川口屋本館 — 城崎・桃島

大谿川の河畔に建ち、貸切露天と手頃な価格で外湯巡りの拠点に最適。気軽に城崎を楽しみたい人へ。

HotelPicks Score: 90 / 100  13室、旅館。

目安価格 ¥20,000–¥47,000 / 泊 (2名1室・通常期)


川口屋本館 — 城崎温泉・桃島 · 大谿川河畔に建つ貸切露天が魅力の小規模旅館
PHOTO: 川口屋本館 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

大谿川の河畔に建つ全13室の小さな宿。貸切露天風呂を備え、外湯巡りに最適な立地を、城崎としてはとりわけ手頃な価格で提供する。川面を望む客室と家庭的な運営が魅力で、予算を抑えながら浴衣で外湯を巡る城崎らしい旅を実現できる。気軽に温泉地の雰囲気を味わいたい層に、編集部が拠点として推す一軒。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、価格に対する満足度と、川沿いの立地・貸切露天への評価が目立つ。コストを抑えつつ外湯巡りを楽しみたい層から繰り返し支持されている。小規模ゆえ館内設備は最小限だが、外湯を「館外の大浴場」と捉える城崎の流儀にむしろ合致する。豪華さより身軽さと価格を重視する旅に向く一軒である。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 予算を抑えたい旅、外湯巡りを主役に身軽に泊まりたい人、川沿いの景観や貸切露天を求める二人旅
  • 向かない: 広い大浴場や豪華な会席を求める旅、格式ある老舗らしさを最優先する人

具体情報

  • 最寄り駅: JR城崎温泉駅から徒歩 約10分
  • 外湯: 柳湯・一の湯へ徒歩数分、七つの外湯すべて徒歩圏
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 風呂: 貸切露天風呂あり
  • 客室: 全13室、大谿川河畔の立地


よくある質問

Q. 城崎温泉の外湯巡りはどの宿に泊まっても楽しめますか?

A. 城崎では宿泊客に外湯入浴券(入湯手形)が用意され、七つの外湯——一の湯・御所の湯・まんだら湯・さとの湯・鴻の湯・地蔵湯・柳湯——を無料で巡れるのが基本です。本記事の6軒はいずれも徒歩圏に外湯が集まり、浴衣で気軽に巡れます。宿の内湯は小ぶりでも、まち全体を大浴場と見立てる城崎の流儀ゆえ、外湯こそが主役になります。

Q. ベストシーズンはいつですか?

A. 浴衣での夕涼み外湯巡りが本領を発揮するのは、編集部が推す盛夏の8月です。日が落ちて石畳に湯けむりが立つ夕暮れは格別で、川沿いの夜風が涼を運びます。冬は松葉ガニ目当ての需要で価格が上がり予約も埋まりやすいため、夏は比較的取りやすく、季節の鮎や鱧の会席も楽しめます。お盆過ぎの8月下旬〜9月上旬の残暑期も狙い目です。

Q. 予約のタイミングは?

A. 客室数を絞った小規模旅館が中心のため、土曜・連休・お盆は1〜2ヶ月前に埋まることが珍しくありません。とくに文化財の宿や上位スコアの宿は早く埋まる傾向があります。平日と週末で価格差が大きいので、日程に余裕があれば平日泊が取りやすく、価格も抑えられます。

Q. 子連れでも泊まれますか?

A. 多くが家族経営の旅館で、家庭的な運営ゆえ子連れにも対応します。ただし文化財建築の西村屋本館や三木屋は段差や静けさを重んじる設えのため、未就学児連れは事前確認が無難です。手頃な川口屋本館や山本屋は気兼ねが少なく、外湯巡りを家族で楽しむ拠点に向きます。

Q. アクセスは?

A. JR城崎温泉駅が玄関口で、大阪からは特急「こうのとり」、京都からは特急「きのさき」で約2時間半〜3時間です。本記事の6軒はいずれも駅から徒歩7〜13分の範囲にあり、送迎を行う宿もあります。温泉街は徒歩で完結する規模で、車は宿の駐車場に預けて浴衣で歩くのが城崎の流儀です。

Q. インバウンド客の利用は?

A. 城崎は浴衣のまちとしての景観と外湯文化が海外からの旅行者に強く支持され、近年は訪日リピーター層の利用が増えています。文化財建築の三木屋や西村屋本館は和の様式を体験したい層に人気で、英語対応や文化的配慮も進みつつあります。浴衣で石畳を歩く体験そのものが、写真映えと文化体験を兼ねる点で評価されています。

本記事の参考情報

・城崎温泉観光協会 — 外湯・イベント・アクセスの公式観光情報
・Wikipedia: 城崎温泉 — 開湯・外湯文化・文学史の背景
・Wikipedia: 城の崎にて — 志賀直哉と城崎の関わり

編集部から

城崎の宿選びは、内湯の豪華さを競う一般的な温泉地の物差しでは測れない。まちの七つの外湯を「大きな共同浴場」と見立て、宿はそこへ向かう浴衣姿の拠点となる——この稀有な様式こそが城崎の本質である。だからこそ編集部は、外湯への徒歩動線、浴衣でくつろげる空気、家族経営の手触りを軸に6軒を選んだ。格式の西村屋本館、文学の三木屋、今を映す小林屋、王道の山本屋、静養のときわ別館、身軽な川口屋本館——いずれも円山川左岸の徒歩圏に収まる。盛夏の夕暮れ、湯けむりの石畳を歩く一夜のために、あなたの旅程にはどの一軒が合うだろうか。

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