大雪山系の「日本一早い紅葉」を子どもと歩くなら、旭岳温泉・層雲峡温泉・旭川駅前の3軒をつなぐ2泊3日が、編集部の推す動線です。旭岳と黒岳はどちらもロープウェイで標高1,300〜1,600m帯まで上がれるため、小学生の足でも色づいた高山帯に届きます。例年の見頃は9月中旬から下旬。本州の紅葉より1か月以上早い、先取りの秋です。2026年の高山帯の紅葉はすでに終わっているため、本稿は次の秋に向けた下調べとして読める内容にまとめました。2027年は9月18〜20日が3連休、23日が秋分の日にあたります。

# ホテル エリア 客室 目安価格 1行特徴
1 ラビスタ大雪山 東川町・旭岳温泉 85 ¥46–¥65k 1泊目。旭岳ロープウェイと同じ温泉街に建つ山岳ホテル、貸切風呂あり
2 ホテル大雪 ONSEN & CANYON RESORT 上川町・層雲峡温泉 188 ¥42–¥68k 2泊目。最大6名の和洋室とビュッフェ、峡谷を望む3つの大浴場
3 JRイン旭川 旭川市・旭川駅前 198 ¥17–¥29k 前泊・延泊の拠点。駅前の商業施設の上階にあり、大浴場つき
↕︎ 地図右下の角をドラッグすると高さを調整できます


※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。地図の点線は宿を泊まる順につないだもので、実際の道路経路ではありません。

この動線が成り立つ理由 — 標高を乗り物で稼ぐ

大雪山系の紅葉は、山頂付近から始まり、およそ1か月をかけて麓へ降りてきます。姿見の池付近の例年の見頃は9月中旬から下旬。子ども連れで登山道を何時間も歩くのは難しくても、旭岳と黒岳はロープウェイが色づいた標高帯の入口まで運んでくれます。山で歩くのは1時間前後、あとは温泉という配分が、この旅程の骨格です。

宿は「翌朝に上がる山の麓」に取るのが編集部の考え方です。旭岳ロープウェイは9月中旬の土日祝に混雑し、駐車場も埋まると公式に案内されています。前日のうちに山麓へ入っておけば、朝の早い便に乗れます。子どもの体力がある午前のうちに歩き終え、午後は移動と風呂にあてる。3日間ともこの順で組みました。

Day 1 — 旭川空港から東川町を経て、旭岳温泉へ

旭川空港に着いたら、まず東川町の市街へ。「写真の町」を掲げる町で、昼食と買い出しをここで済ませます。旭岳温泉には商店がほとんどないため、子どもの飲み物や行動食は町で揃えておくと安心です。そこから山へ向かって標高を上げ、午後の早い時間に宿へ入ります。空港から旭岳温泉まではタクシーで約40分。初日は歩かず、宿の温泉と夕食で体を休め、翌朝に備える日と割り切ります。

1. ラビスタ大雪山 — 東川町・旭岳温泉

旭岳ロープウェイと同じ温泉街に建つ山岳ホテル。朝いちばんに山へ上がるための1泊目。

85室、中規模の山岳リゾートホテル。

目安価格 ¥46,000–¥65,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ラビスタ大雪山 — 北海道東川町・旭岳温泉 · 針葉樹林に囲まれたハーフティンバー様式の山岳ホテル外観
PHOTO: ラビスタ大雪山 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

山麓に泊まるという条件を、家族で無理なく満たせる宿です。理由は三つ。旭岳ロープウェイと同じ温泉街にあり、朝の移動が短いこと。4.5畳の畳間がついた32㎡の和洋室が24室あり、最大4名で泊まれること。そして貸切風呂「しゅまりの湯」があり、大浴場にまだ慣れない年齢の子とも家族だけで湯に入れること。夕食は創作フレンチか創作和食を選ぶ形式で、朝は和洋のビュッフェです。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、評価の中心は食事と温泉にあります。貸切風呂への言及が目立って多いのもこの宿の特徴で、家族や少人数で湯を囲む使い方が支持されていると読み取れます。一方で、客室や設備に年数を感じるという指摘、価格の高さへの指摘も一定数見られます。新しさよりも、山の環境と湯、食事に対価を払う宿だと言えます。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    小学生を連れて朝の早い便で旭岳に上がりたい家族、貸切風呂を使いたい家族、夕食を落ち着いて取りたい3〜4名の旅
  • 向かない:
    5名以上で1室に泊まりたい家族(4名超に対応するのは56㎡のスイート1室のみ)、子ども向けの遊び場を宿に求める旅、新築同様の設備を重視する人

具体情報

  • アクセス: 旭川空港からタクシーで約40分 / JR旭川駅から路線バス「いで湯号」で約1時間20分、「旭岳キャンプ場」下車
  • 客室サイズ: 22〜56㎡(和洋室は32㎡・2〜4名、デラックストリプルは42〜47㎡)
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 夕食は創作フレンチまたは創作和食の選択制、朝食は和洋ビュッフェ
  • 温泉: 大浴場「もむにの湯」(露天風呂・寝湯あり)、貸切風呂「しゅまりの湯」
  • 駐車場: 54台・無料・予約不要
  • 子ども: 3歳〜未就学児は寝具・食事なしでも施設利用料 2,200円(税込)

Day 2 — 朝の旭岳・姿見の池を歩き、層雲峡温泉へ

2日目の朝が、この旅の山場です。旭岳ロープウェイは片道約10分。降り立つ姿見駅の周辺は標高1,600m付近で、森林限界を越えた景色が広がります。駅から姿見の池をめぐる散策路は1周約1.7km、所要はおよそ1時間。岩の多い道ですが大きな登りはなく、小学生なら歩き切れる長さです。噴気孔の音と硫黄の匂い、チングルマの赤い葉、ハイマツの緑。子どもにとっては、紅葉というより「山の上は別の世界だ」という体験になるはずです。

運賃は6〜10月のトップシーズンで大人(中学生以上)往復3,500円、小人往復1,750円。未就学児は大人1名につき1名が無料です。9月下旬の山上は冬の入口の気温になる日があり、風も強いため、手袋と帽子、防寒の上着は家族全員ぶん用意します。雲がかかって視界のない朝もあります。その場合は出発を遅らせるか、3日目の黒岳に期待を回すという判断でよいと思います。

昼前に下山したら、車で層雲峡へ。大雪山の北側へ回り込む移動で、休憩を含めて2時間前後を見ておきます。層雲峡は石狩川に沿って柱状節理の断崖が続く峡谷で、温泉街はその谷底にあります。高山帯より遅れて、谷の紅葉は例年10月に入ってから色づきます。9月下旬の峡谷はまだ緑が濃く、朝に歩いた山上との標高差がそのまま季節の差として見える道中です。

2. ホテル大雪 ONSEN & CANYON RESORT — 上川町・層雲峡温泉

層雲峡温泉の188室。定員6名の和洋室とビュッフェで、大人数の家族も1室にまとまる2泊目。

188室、大型の温泉リゾートホテル。

目安価格 ¥42,000–¥68,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ホテル大雪 ONSEN & CANYON RESORT — 北海道上川町・層雲峡温泉 · 色づいた峡谷を正面に望む露天風呂
PHOTO: ホテル大雪 ONSEN & CANYON RESORT — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

家族の人数を選ばない、というのが第一の理由です。56.3㎡のキャニオンビュー和洋室と50㎡の和洋室はどちらも定員6名で、祖父母を加えた三世代でも1室に収まります。夕食の一つはビュッフェレストラン「HINNAの森」で、好き嫌いのある年齢の子がいても食卓が成り立ちます。3つの大浴場と2つの露天風呂は源泉かけ流し。1階には絵本と図鑑を置いた休憩室「やすらぎ文庫」があり、風呂上がりの時間の置き場になります。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、食事と温泉、とりわけ朝食ビュッフェの品数と、飲み物込みの食事スタイルへの評価が厚い宿です。対して、客室や水回りに年数を感じるという指摘が一定の割合で見られ、総合の評価は1泊目・3軒目の宿より控えめに出ています。客室タイプによって広さと設備の差が大きい宿でもあるため、予約時に客室タイプを確かめておくことを勧めます。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    5〜6名で1室に泊まりたい家族や三世代、ビュッフェで子どもの食事を組み立てたい家族、複数の浴場を回りたい温泉好き
  • 向かない:
    静かな小規模宿を求める旅(188室の大型館)、客室の新しさを最優先する人、23㎡台のツインに家族4名で泊まろうとする旅程(定員2名)

具体情報

  • アクセス: 旭川紋別自動車道 上川層雲峡ICから国道39号 / JR旭川駅前8番のりばから道北バス層雲峡・上川線
  • 客室サイズ: 23〜56.3㎡(和洋室は50〜56.3㎡・定員6名、和室は32.5㎡・4〜5名)
  • チェックイン: 15:00〜(最終19:00) / アウト 〜11:00
  • 食事: ビュッフェ「HINNAの森」ほか計3つのレストラン。約30種の飲み物を含むフリーフロー形式
  • 温泉: 大浴場3か所・露天風呂2か所(天華の湯、大雪乃湯、チニタの湯)、源泉かけ流し
  • 駐車場: 100台・無料
  • 改修に伴う休止: 峡谷露天風呂「天華の湯」は2026年11月1日〜12月25日、貸切風呂は2026年10月19日〜12月25日に営業休止(2026年10月9日付の公式告知)

Day 3 — 黒岳の5合目・7合目に上がり、旭川へ下りる

最終日の朝は黒岳へ。層雲峡温泉街の山麓駅(標高670m)から5合目の黒岳駅(1,300m)まで、ロープウェイで約7分。5合目からさらにペアリフトに約15分乗ると、標高1,520mの7合目に着きます。7合目から山頂までは本格的な登山道になるため、小学生連れの家族はここを折り返し点にします。リフトの足元を流れていく色づいた斜面そのものが、この朝の見どころです。

運賃は2026年時点で、ロープウェイとリフトの往復セット券が大人3,900円、小学生1,950円、未就学児は無料。2027年6月から料金改定が予定されているため、出発前に公式の案内を確かめてください。リフトの夏期営業は2026年の場合9月30日まででした。月をまたぐ日程で行く家族は、リフトの営業日を先に確かめておく必要があります。

昼前に層雲峡を出て、旭川方面へ1時間から1時間半。帰りの便が夕方以降なら、市街の東にある旭山動物園に立ち寄る組み方ができます。山と温泉が続いた3日目に動物園を置くと、子どもの集中力が最後まで持ちます。便が早い家族、あるいはもう1日延ばせる家族には、旭川駅前にもう1泊する形を勧めます。到着が夜になる場合の前泊にも同じ宿が使えます。

3. JRイン旭川 — 旭川市・旭川駅前

旭川駅前の商業施設の上階に198室。夜着の前泊と動物園のための延泊を受け止める一軒。

198室、駅前の宿泊特化型ホテル。

目安価格 ¥17,000–¥29,000 / 泊 (2名1室・通常期)


JRイン旭川 — 北海道旭川市・JR旭川駅前 · 駅前広場に面した商業施設の上階に入る宿泊特化型ホテルの外観
PHOTO: JRイン旭川 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

山の宿2軒とは役割が違います。ここは旅の前後を支える拠点です。JR旭川駅の西改札を出て、駅前の商業施設に入ってすぐの専用エレベーターで5階へ。雨や寒さの日でも、子どもをほとんど外に出さずに客室まで着けます。食事と買い物は階下で済み、半露天つきの大浴場が男女別にあります。朝食は直結する商業施設4階のビュッフェで、未就学児は無料。枕を約20種から選べるのも、旅の疲れが出る最終夜には効いてきます。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、駅と商業施設に直結する立地への評価が群を抜いて高く、客室の清潔さと大浴場がそれに続きます。3軒の中で総合の評価が最も安定している宿です。弱点として挙がるのは客室の広さ。102室を占めるシングル・セミダブルと54室のエコノミーツインはともに17㎡で、家族で使うには手狭という傾向が見て取れます。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    夜の便で旭川に着く家族の前泊、旭山動物園に1日あてたい延泊、大人2名と未就学児の3名旅、JRで動く家族
  • 向かない:
    4名以上で1室に泊まりたい家族(最大3名、3名利用はソファーベッド対応で対象は18室のみ)、宿そのものを旅の目的にしたい人、車高2.2mを超える車で動く旅

具体情報

  • 最寄り駅: JR旭川駅 西改札から商業施設内を通りホテル専用エレベーターで5階 / 旭川空港からタクシーで約35分
  • 客室サイズ: 17〜30㎡(3名まで泊まれるラージツインは27㎡・17室、ユニバーサルは30㎡・1室)
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 朝食は直結の商業施設4階でビュッフェ(6:30〜10:00、1,800円・税込、未就学児無料)。夕食は直結の商業施設や駅周辺の店を利用
  • 大浴場: 男女別・半露天あり、15:00〜25:00 / 5:00〜10:00
  • 駐車場: 1泊800円、車高2.2m以下
  • 子ども: 未就学児は大人1名につき1名まで添い寝可、小学生以上は大人料金

よくある質問

Q. 大雪山系の紅葉のベストシーズンはいつですか?

A. 旭岳・姿見の池付近の例年の見頃は9月中旬から下旬です。山頂付近は8月下旬から色づき始め、およそ1か月かけて麓へ降りていきます。層雲峡の峡谷は高山帯より遅く、例年10月に入ってから。高山帯を歩くなら9月の第3〜4週を編集部は推します。年ごとの差が大きいため、直前に各ロープウェイの公式情報を確認してください。

Q. 小学生でも歩けますか?

A. 旭岳の姿見の池をめぐる散策路は1周約1.7km・約1時間で、ロープウェイを降りた標高1,600m付近から歩き始められます。黒岳はロープウェイとリフトで7合目(1,520m)まで上がれ、そこから先の登山道には入らずに折り返す形にすれば、小学生連れでも無理のない行程です。足元は岩や砂利のため、運動靴ではなく底のしっかりした靴を用意します。

Q. 予約のタイミングは?

A. 9月中旬から下旬は山の宿の最繁忙期にあたり、目安価格も通常期より1泊 ¥10,000 ほど上昇する傾向があります。2027年は9月18〜20日が3連休のため、この週末は早い段階で埋まると見ておくのが安全です。家族向けの和洋室は室数が限られるので、日程が決まり次第、客室タイプを指定して押さえることを勧めます。

Q. 車がなくても回れますか?

A. 旭川駅を起点にすれば路線バスで両方の温泉へ行けます。旭岳温泉へは「いで湯号」で約1時間20分、層雲峡へは駅前8番のりばから道北バスの層雲峡・上川線が出ています。ただし旭岳温泉と層雲峡を直接結ぶ移動は旭川経由になり、時間がかかります。本稿の動線どおりに回るなら、レンタカーが現実的です。

Q. 9月下旬の服装は?

A. 標高1,300〜1,600m帯は、平地より大幅に気温が低く、風も強く吹きます。9月のうちに山頂付近で雪が観測される年もあります。大人も子どもも、薄手のダウンやフリースに防風の上着を重ね、手袋と帽子を持参します。温泉街と旭川市内は長袖に上着1枚で過ごせる日が多く、重ね着で調整できる用意が向いています。

Q. 天気が悪い日はどうしますか?

A. 山上は雲に入ると視界がなくなり、強風でロープウェイが運休する場合もあります。この旅程は旭岳と黒岳の2回、山に上がる機会があるため、片方が悪天でも紅葉を見られる可能性が残ります。上がれない朝は、東川町の市街や旭山動物園に時間を回し、宿の温泉を長めに取る組み替えが有効です。

本記事の参考情報

・大雪山旭岳ロープウェイ — 運賃・所要時間・姿見の池散策路・混雑の案内
・大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイ — 標高・運賃・営業期間・紅葉状況
・環境省 大雪山国立公園 — 公園の地理と利用上の注意

編集部から

3軒に通底する選定軸は、「翌朝の行動にいちばん近い場所に泊まる」ことでした。旭岳の麓、黒岳の麓、そして駅の真上。子ども連れの旅は、移動の短さがそのまま朝の余裕になります。紅葉の当たり外れは天候しだいですが、山に上がる機会を2回持つことで、旅全体の成否を一日の空模様に預けずに済みます。高山帯の色が終わったあとの層雲峡には、10月の峡谷の紅葉という別の季節が控えています。同じ動線を2週間ずらしたら、子どもの目に映る景色はどう変わるでしょうか。

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