家族で星空を見上げるための宿として、編集部が標高と夜の過ごし方で選んだ高原・山あいの5軒を紹介します。当初この企画は、2026年8月28日の部分月食(食分0.935)を家族で観る宿として準備していました。ところが国立天文台の資料では、この月食の食の最大は日本時間13時13分で、日本からは見られない現象でした。そこで本記事は前提を改め、月食に限らず「夜の空」を目当てに泊まれる宿を選び直しています。国立天文台によると、日本全国で見られる次の月食は2028年7月7日の部分月食、その次が2029年1月1日の皆既月食です。暗い空、夜に外へ出やすい敷地、子どもが昼に遊べる設備。その三つがそろう宿を、次の天文現象に向けた下見として読んでもらえれば幸いです。

# ホテル エリア 客室 目安価格 1行特徴
1 八ヶ岳高原ロッジ 長野県南牧村 68 ¥38–¥58k 標高1,500mの森。野辺山の電波観測所と組んだ星の企画がある
2 休暇村 奥大山 鳥取県江府町 40 ¥28–¥36k 標高920mの草原で、毎夜20時からスタッフが星空を案内
3 ユルイの宿 恵山 長野県阿智村 47 ¥43–¥52k 「日本一の星空」の村。ナイトツアー付きプランと乳幼児向けの備え
4 ラビスタ霧島ヒルズ 鹿児島県霧島市 105 ¥53–¥74k 全室に温泉露天風呂。客室のテラスから夜空を見上げられる
5 ホテル昴 奈良県十津川村 27 ¥44–¥70k 紀伊山地の奥。源泉かけ流しと25mの温泉プールを持つ

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

1. 八ヶ岳高原ロッジ — 長野県南牧村

標高1,500m、約200万坪の森の中に建つ68室。家族で星を見るための宿として、編集部が真っ先に推したい一軒です。

68室、高原リゾートホテル。

目安価格 ¥38,000–¥58,000 / 泊 (2名1室・通常期)


八ヶ岳高原ロッジ — 長野県南牧村・海の口自然郷 · 標高1,500mの森を窓いっぱいに望む客室
PHOTO: 八ヶ岳高原ロッジ — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

八ヶ岳連峰の東麓、海の口自然郷の中にあるホテルです。理由は三つあります。まず標高。1,500mの高原は夏でも夜気が澄み、街の明かりが届きにくい。次に敷地の広さ。森と芝生が宿のまわりに広がり、夕食のあと家族で数分歩けば暗い空の下に立てます。そして星を運営に組み込んでいること。星景写真家が案内する観望会や、星を見るための道具の貸し出しを用意しているほか、2026年の秋から冬には国立天文台 野辺山宇宙電波観測所と組んだ講演・夜間見学付きの日程限定プランも組まれています。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、評価の中心は食事の質と、静けさ・自然に囲まれた立地です。スタッフの対応への評価も安定しています。一方で、客室の設備に年数を感じるという方向の指摘が一定数見られます。新しさや設備の派手さより、森の中で静かに過ごす時間に価値を置く宿だと読み取れます。星を目当てにするなら、その静けさこそが条件になると編集部は考えます。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    天文に興味が出てきた小学生のいる家族、星と音楽を一度の旅で味わいたい三世代旅、車を持たず駅からの送迎で高原へ入りたい人
  • 向かない:
    プールや遊具など館内の遊び場を求める家族(森の散策が中心)、最新設備の客室を重視する人、標高1,500mの夜の冷え込みが苦手な人

具体情報

  • 最寄り駅: JR小海線 野辺山駅から無料送迎バス(要予約)で約15分(冬期は約20分)
  • 車: 東京から約2時間30分
  • 客室サイズ: 約24〜100㎡(スイート含む・全室禁煙)
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 館内に和食・洋食のレストランとバー
  • 標高: 約1,500m(海の口自然郷の造成は1963年に始まった)


2. 休暇村 奥大山 — 鳥取県江府町

大山の南、標高920mの鏡ヶ成。毎夜20時にスタッフが星空を案内する、家族の星空入門に最も手頃な一軒です。

40室、高原リゾート型の宿。

目安価格 ¥28,000–¥36,000 / 泊 (2名1室・通常期)


休暇村 奥大山 — 鳥取県江府町・鏡ヶ成 · 標高920mの草原と満天の星空の下に建つ宿
PHOTO: 休暇村 奥大山 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

鳥取県は「星取県」を名乗り、県内のどの市町村からも天の川が見えることを打ち出しています。その中でも鏡ヶ成は、周囲を山に囲まれた高原の草地。宿の目の前がそのまま観察場所になります。選んだ理由は、星空案内が「毎日開催」であること、宿の前の園地が広く子どもが走っても安全なこと、そして価格が5軒の中で最も手頃なこと。天気に恵まれれば、特別な予約なしに夜の空へ連れ出してもらえる仕組みが整っています。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、食事の質への評価が最も厚く、次いで静かな環境と自然の近さが挙がります。スタッフの対応も好意的に受け止められています。建物や客室にはやや年数を感じるという声が一定数あり、設備の新しさで選ぶ宿ではありません。とはいえ、価格と体験の釣り合いという点では、今回の5軒で最も手堅い一軒と言えます。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    初めて星空観察をする幼児〜小学生連れの家族、予算を抑えて連泊したい人、大山・蒜山の自然散策と組み合わせる旅程
  • 向かない:
    洋室・ベッドを重視する人(客室は和室10畳が中心)、冬にスタッドレスタイヤなしで車で入る旅程(冬期は一部道路が通行止め)、都会的なリゾート設備を求める人

具体情報

  • 最寄り駅: JR米子駅から送迎バス(要予約)で約60分 / JR伯備線 根雨駅から送迎バス(要予約)で約40分
  • 車: 米子自動車道 江府ICから約30分
  • 客室: 和室10畳が中心(和室ツイン・洋室ツインもあり)
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 夕食は旬の会席+ミニビュッフェなど、朝食はビュッフェ。子ども向けの料理や食器も用意
  • 星空観察: 毎夜20:00からスタッフが案内(天候による)
  • 標高: 約920m


3. ユルイの宿 恵山 — 長野県阿智村

「日本一の星空」を掲げる阿智村の昼神温泉で、ナイトツアーと赤ちゃん連れの備えを両立させた温泉旅館です。

47室、温泉旅館。

目安価格 ¥43,000–¥52,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ユルイの宿 恵山 — 長野県阿智村・昼神温泉 · 4階以上の客室から阿知川と温泉郷を見下ろす和室
PHOTO: ユルイの宿 恵山 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

阿智村の星空観賞の核は、富士見台高原ヘブンスそのはらのナイトツアーです。ゴンドラで標高1,400m地点まで上がり、合図とともに照明が消える。恵山はこのツアーのチケット付きプランを用意し、フロントでもチケットを扱っています。会場までは車で約15分。客室はすべて4階以上で、ツアーに行かない夜も窓から温泉郷の上の空を眺められます。加えて、乳幼児連れ向けの「ウェルカムベビーのお宿」として認定されている点が、家族旅では大きな安心材料です。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、食事への評価が突出して厚く、囲炉裏料理や郷土会席が宿の看板になっていることがうかがえます。スタッフの親しみやすさと、温泉の湯そのものへの評価も高い水準です。一方で、建物の古さや客室の温度調整を挙げる声も少数ながら見られます。食と湯でくつろぎ、夜は山の上へ星を見に出る。役割分担のはっきりした宿です。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    乳幼児を連れた初めての温泉旅、ガイド付きの星空ツアーに参加したい小学生のいる家族、名古屋方面から車で入る週末旅
  • 向かない:
    宿の敷地内だけで暗い空を求める人(温泉街の明かりがある)、公共交通だけでナイトツアーへ行きたい人(ツアー付きプランは車での移動が前提)、洋室を望む人

具体情報

  • アクセス: 中央自動車道のICから車で約10分、名古屋から車で約90分。JR飯田駅から路線バスも通じる
  • 客室: 和室10〜12.5畳が中心、最上階に和洋室
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 囲炉裏料理または郷土会席(夕朝食付き)
  • 駐車場: 50台・宿泊者無料・予約不要
  • 家族向け: ウェルカムベビー専用プランでベビー布団・ベビーバスなどを貸し出し
  • 宿泊税: 阿智村では2026年6月1日宿泊分から宿泊税が導入されている


4. ラビスタ霧島ヒルズ — 鹿児島県霧島市

霧島温泉郷の高台に建つ105室。全室の温泉露天風呂が、そのまま家族の小さな観望席になる一軒です。

105室、温泉リゾートホテル。

目安価格 ¥53,000–¥74,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ラビスタ霧島ヒルズ — 鹿児島県霧島市・霧島温泉郷 · 湯けむりの先に錦江湾と桜島を望む高台の眺め
PHOTO: ラビスタ霧島ヒルズ — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

2018年12月に開業した、南欧調の温泉リゾートです。星の名所として名を売る宿ではありませんが、家族の星空旅としては理にかなった造りをしています。全室に天然温泉の露天風呂があり、テラスから錦江湾と桜島の方角、つまり南に開けた空を見上げられる。子どもを寝かしつけたあと、大人は客室の湯に浸かりながら夜空を待てます。昼は全長25mの屋外プールに子ども用プールも備わり、夏の家族旅に強い。九州でこの条件をそろえる宿は多くありません。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、食事の質、大浴場と客室付きの露天風呂への評価がそろって高く、スタッフの対応も安定して支持されています。目立った弱点は少なく、チェックイン時の混雑に触れる声がわずかに見られる程度です。105室という規模でこの評価のまとまり方は、運営の安定ぶりを示していると言えます。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    夏休みに昼のプールと夜の空を一度に楽しみたい家族、飛行機で九州へ入る旅程(空港から車で約30分)、客室で星を待ちたい大人
  • 向かない:
    ガイド付きの星空プログラムを宿に求める人、真っ暗な空を最優先する人(温泉郷の明かりがある)、和食会席を望む人(夕食は洋食コース)

具体情報

  • 最寄り駅: JR日豊本線 霧島神宮駅から無料送迎(要予約)またはタクシーで約20分
  • 空港: 鹿児島空港から車で約30分
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 夕食はイタリアンテイストの洋食コース、朝食は和洋のバイキング(個別提供)
  • プール: 全長25mの屋外プール+子ども用プール(夏季営業、2026年は7月1日〜8月31日)
  • 駐車場: 105台・無料・予約不要
  • 開業: 2018年12月


5. ホテル昴 — 奈良県十津川村

紀伊山地の奥、源泉かけ流しの十津川温泉に建つ、星の名を持つ27室。昼は温泉プール、夜は山あいの暗い空。

27室、温泉ホテル。

目安価格 ¥44,000–¥70,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ホテル昴 — 奈良県十津川村・十津川温泉 · 25m・6コースの屋内温泉プール
PHOTO: ホテル昴 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

奈良県の南端、日本で最も広い村として知られる十津川村。宿の名「昴」はプレアデス星団の和名で、館内の温泉保養館も「星の湯」と名づけられています。周囲は深い山と渓谷で、大きな街の明かりから遠く離れた立地です。家族旅に推す理由は、宿泊者が無料で使える25m・6コースの屋内温泉プールと幼児用プールにあります。天気が崩れても昼の遊び場に困らず、夜に晴れ間が出れば外へ出る。山奥の宿としては珍しい、子ども連れに優しい構えです。ミシュランガイド奈良2017にも掲載されました。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、食事と温泉の二本柱への評価が際立ちます。とりわけ加温・加水のない源泉かけ流しの湯と、その泉質に触れる評価が厚く、湯を目当てに再訪する層がいることがうかがえます。熊野方面の観光拠点としての使いやすさを挙げる声も見られます。客室の古さに触れる声は少数で、全体として湯の宿としての信頼が厚い一軒です。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    プールで遊びたい子どものいる家族、熊野古道・玉置神社と組み合わせる旅、温泉の質を重視する三世代旅
  • 向かない:
    短時間で着きたい人(近鉄八木駅から路線バスで約4時間)、開けた全天を求める人(谷あいのため空は山に囲まれる)、夜に館外で観察プログラムを求める人

具体情報

  • 公共交通: 近鉄 大和八木駅から奈良交通バスで約4時間 / JR新宮駅から奈良交通バスで約2時間30分
  • 客室: 和室10畳(2〜5名)、檜風呂付き特別室(10畳+6畳)、洋室ツイン
  • 食事: 地元食材の会席。夕食開始は18:00・18:30・19:00から選択、小学生向けの子ども料理あり
  • 温泉プール: 25m・6コース+幼児用、宿泊者は無料(毎年2月・9月に点検休館あり)
  • 駐車場: 普通車100台・無料


よくある質問

Q. 2026年8月28日の部分月食は日本で見られたのですか?

A. 見られませんでした。国立天文台によると、この部分月食の食分は0.935、食の最大は日本時間の13時13分で、日本からは見られない月食でした。2026年に日本で見られた月食は、全国で皆既食となった3月3日の皆既月食(食の最大20時34分)の1回だけでした。

Q. 次に日本で月食が見られるのはいつですか?

A. 国立天文台によると、日本全国で見られる次の月食は2028年7月7日の部分月食(食の最大3時20分、一部地域では部分食のまま月の入り)です。その次が2029年1月1日の皆既月食(食の最大1時52分)。国立天文台の暦要項では、2027年に日本で見られる月食は挙げられていません。

Q. 家族で星を見るなら、季節はいつがよいですか?

A. 編集部が推す時期は、夏休みと秋です。夏は夜の外気が過ごしやすく天の川も見やすい一方、高原でも夕立や霧に当たりやすい。秋は空気が澄み、標高の高い宿では夜の冷え込みが早く始まります。冬の星空は格別ですが、八ヶ岳や鏡ヶ成は積雪と道路規制があるため、子ども連れなら公共交通と宿の送迎を軸に組むのが安全です。

Q. 曇りや雨の日はどう過ごせばよいですか?

A. 天気に左右される旅だからこそ、昼の過ごし方が強い宿を選ぶのが要点です。ホテル昴は屋内の温泉プール、ラビスタ霧島ヒルズは夏季の屋外プールと客室露天風呂、休暇村 奥大山はキッズスペースを持ちます。阿智村のナイトツアーは、星が見えない日に山頂のロッジで星の映像とトークの催しを行うとしています。2泊にすると晴れる夜に当たる確率が上がります。

Q. 子連れで泊まるうえでの注意点は?

A. 乳幼児連れなら、ベビー布団やベビーバスを貸し出すユルイの宿 恵山のウェルカムベビー専用プランが心強い選択肢です。標高1,500mの八ヶ岳高原ロッジや920mの休暇村 奥大山では、真夏でも夜は上着が要ります。夜の観察は足元が暗く芝が濡れていることも多いため、懐中電灯(赤いセロハンをかぶせると目が暗さに慣れたまま使える)とスニーカーを用意しておくと安心です。

Q. 予約はいつ頃から動けばよいですか?

A. 夏休みと秋の連休は、家族向けの和室や広めの客室から先に埋まる傾向があります。八ヶ岳高原ロッジの国立天文台連携プランのような日程限定の企画は回数が限られるため、公表されたら早めに確認したいところです。2029年元日の皆既月食に合わせるなら、年末年始の予約が始まる時期を宿の公式サイトで確かめておくとよいでしょう。

本記事の参考情報

・国立天文台「皆既月食(2026年3月3日)ファクトシート」 — 近年の月食一覧(2026年8月28日・2028年7月7日・2029年1月1日の食分と時刻)
・国立天文台 暦計算室「令和8年(2026)暦要項」 — 2026年の日食・月食と日本での見え方
・国立天文台 暦計算室「令和9年(2027)暦要項」 — 2027年の日食・月食
・国立天文台 野辺山宇宙電波観測所 — 八ヶ岳高原ロッジ近くの電波天文学の観測拠点

編集部から

月食の夜に家族で泊まる宿、という企画は、肝心の月食が日本から見えないと分かった時点で、いったん白紙に戻りました。それでも残ったのは、暗い空、夜に外へ出やすい敷地、そして天気が崩れても子どもが退屈しない昼の過ごし方、という三つの条件です。今回の5軒は、その条件を標高や立地、運営の工夫でそれぞれ満たしています。次の本番は2028年7月7日の明け方と、2029年の元日の深夜。どちらも子どもには少し夜更かしが要る時間です。その日に向けて、まずは晴れた夜を一度、家族で下見しておく。最初の一泊を、どの空の下で過ごしますか。

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