くじゅう花公園と久住連山をベースに、九重・飯田高原を朝に歩く旅に合う高原宿として、編集部が選んだ 6 軒を紹介する。標高 800〜1,100m の冷涼な空気と、ラムサール条約に登録されたタデ原湿原、6 月のミヤマキリシマから 9 月の花公園ピークまで続く「九州の山上花カレンダー」。由布院・別府の影に隠れがちなこのエリアで、登山口・湯坪温泉・筋湯温泉の周辺に点在する小規模旅館とコテージ宿に絞り、ハイカーが朝 6 時に湿原や登山口へ向かいやすい立地、地獄蒸し料理や豊後牛を出す宿を編集した。
| # | ホテル | エリア | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 九重星生ホテル | 飯田高原 | 54 | ¥55–¥73k | 標高 1,120m、牧の戸登山口へ車 5 分の山岳リゾート |
| 2 | 山あいの宿 喜安屋 | 湯坪温泉 | 10 | ¥46–¥50k | 全客室に源泉掛け流し露天、日本秘湯を守る会の十室宿 |
| 3 | 飯田高原ボスコ | 飯田高原 | 9 | ¥43–¥63k | 九室のオーベルジュ、地元食材の懐石とくじゅう連山ビュー |
| 4 | スターダストヴィレッジ星生 | 飯田高原 | 16 | ¥30–¥62k | 一戸建てコテージ+コンドミニアム、星空観察に向く高原立地 |
| 5 | 渓谷の宿 二匹の鬼 | 九酔渓 | 21 | ¥39–¥48k | 全室源泉掛け流し露天、九酔渓の渓谷景観に張り出した離れ造り |
| 6 | 名水の宿 宝珠屋 | 筋湯温泉 | 29 | ¥20–¥31k | 明治創業、筋湯温泉街中心の中規模旅館、価格を抑えた拠点向き |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。地図上の赤い★は主要ハイキング起点(タデ原湿原・牧の戸登山口・くじゅう花公園)。
1. 九重星生ホテル — 飯田高原
標高 1,120m、牧の戸登山口に最も近い 54 室の山岳ホテル。久住連山を朝に歩くなら、まず候補に挙がる一軒。
54室、リゾートホテル(飯田高原中核)。
目安価格 ¥55,000–¥73,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
選定の核は、牧の戸登山口まで車で 5 分という立地。久住連山の主稜線へ最短でアクセスできるベースとして、ハイカーの拠点としての価値が際立つ。標高 1,120m に位置するため夏の朝でも空気は涼しく、自家源泉「山恵の湯」は別棟に 4 種類の浴槽を持ち、登山後の身体を温め直す動線が組まれている。54 室と規模を確保しつつ、本館和室・東館和洋室・バリアフリー客室と用途別に整理されており、登山客から記念日利用まで幅広く受け止める設計が確認できる。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、立地の良さ(登山口・くじゅう花公園双方への近さ)と温泉設備への評価が安定して高い。一方で、客室棟による設備差を指摘する声と、夕食のスタイル(バイキング寄り)が好みを分けるという傾向も読み取れる。連泊して登山やトレッキングを楽しむ層と、温泉と眺望を求める層の双方に受け入れられている、というのが集約データから見える本質である。
向く人 / 向かない人
-
向く:
久住山・中岳・星生山の縦走を計画するハイカー、夏の避暑を兼ねた家族滞在、温泉と山景観の両立を求める旅 -
向かない:
鄙びた小さな宿の静けさを最優先する旅人(規模が中堅クラスなのでロビーや浴場に賑わいがある)、洗練された創作料理を主目的にする旅
具体情報
- 最寄り駅: JR豊後中村駅から車 30 分/大分自動車道・九重 IC から車 30 分
- 立地: 標高 1,120m、牧の戸登山口まで車 5 分、くじゅう花公園まで車 15 分
- 客室: 54 室(本館和室・東館和洋室・バリアフリー室)
- 温泉: 自家源泉「山恵の湯」、別棟に 4 種類の浴槽
- 創業: 1955年
2. 山あいの宿 喜安屋 — 湯坪・筋湯温泉
標高 1,000m に建つ十室すべて平屋の宿。全客室に源泉掛け流しの露天風呂、日本秘湯を守る会加盟の一軒。
10室、小規模旅館(湯坪・秘湯)。
目安価格 ¥46,000–¥50,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
2006 年開業ながら、土壁と黒板塀で構成された外観は古い農家の佇まいを意図しており、本館・食事処・客室棟 4 棟・浴場棟がすべて平屋で渡り廊下に結ばれている。湯量が豊富なため温泉熱を客室暖房にも利用しているという点が、運営の思想を端的に示している。室数を 10 に絞り、全客室に専用の露天風呂を備えた構成は、ハイキング後に他の宿泊客と動線が交わらない静けさを担保している。日本秘湯を守る会加盟という看板の重みも、選定の根拠として大きい。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、料理(地元の山菜・豊後牛・地獄蒸しの組み合わせ)と客室露天への評価が突出して高い。湯坪温泉という立地ゆえ静けさを評価する声が多く、リピート率の高さも傾向として読み取れる。一方で、宿への道のりが山道で運転に注意が必要、客室の段差や和室メインゆえ高齢層には案内が要るという指摘もあり、運営からも事前案内で対応している様子が窺える。
向く人 / 向かない人
-
向く:
記念日・大人カップル、源泉掛け流し客室露天を最優先する温泉好き、料理を主目的にする滞在 -
向かない:
幼児連れの家族、車の運転に不慣れな旅人、夜遅くチェックインしたい長距離移動の旅程
具体情報
- 最寄り駅: JR豊後中村駅から車 30 分/九重 IC から車 30 分
- 立地: 標高 1,000m、湯坪温泉エリア、牧の戸登山口まで車 15 分
- 客室: 10 室(すべて専用露天風呂付き、平屋造り)
- 食事: 食事処にて地元食材の会席(豊後牛・地獄蒸し・山菜)
- 開業: 2006年10月
3. 飯田高原ボスコ — 飯田高原
九室だけのオーベルジュ。飯田高原の真ん中で、料理を主目的に夜と朝を過ごす宿。
9室、オーベルジュ/小規模高原宿。
目安価格 ¥43,000–¥63,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
客室 9 室で、飯田高原の中心部に静かに収まる小規模宿。料理を主目的に据えたオーベルジュ形式で、地元の山菜・豊後牛・季節野菜を組み合わせた構成が特徴。タデ原湿原の木道入口(長者原ビジターセンター)まで車 10 分弱という距離感も、朝 6 時に湿原を独占したい層には大きい。テーマは「料理×山」で、登山前後の食事を旅程の中心に置きたい人に向く。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、料理の評価が極めて高く、夕食・朝食ともに満足度が安定している。スタッフの対応の丁寧さ、客室の落ち着き、館内全体の手入れの良さといった、小規模宿の運営姿勢に紐づく項目が継続して高評価を得ている。一方、料金帯はエリアの中で上位に位置するため、温泉や規模の派手さを期待した層から「期待値の合わない」声がごく一部に見られる。料理と滞在の静けさに価値を置くなら、満足度は非常に高い。
向く人 / 向かない人
-
向く:
記念日・大人カップル、料理を旅の中心に置く滞在、タデ原湿原・くじゅう花公園を朝に歩く拠点を求める旅 -
向かない:
大浴場・露天風呂の規模を最優先する温泉旅、団体や大人数の旅程、3 世代家族旅行
具体情報
- 最寄り駅: JR豊後中村駅から車 30 分/九重 IC から車 25 分
- 立地: 飯田高原中心部、長者原ビジターセンター(タデ原湿原入口)まで車 8 分
- 客室: 9 室
- 食事: 朝食・夕食ともに地元食材の懐石(豊後牛・地獄蒸しを含む)
- 開業: 2013年
4. スターダストヴィレッジ星生 — 飯田高原
飯田高原に点在する一戸建てコテージとコンドミニアム。九重連山を見上げながら家族や仲間で過ごす拠点。
16室、コテージ+コンドミニアム。
目安価格 ¥30,000–¥62,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
「ホテルでもキャンプでもない」をコンセプトに作られた、貸別荘+コンドミニアムの複合施設。コンドミニアム「星生倶楽部」には地下に内風呂と貸切湯、コテージ「星生平」は 8 棟が独立して立つ構成で、家族・グループ・小人数滞在のいずれにも対応する柔軟さがある。標高 1,000m 前後、街明かりの届かない位置にあるため、夏の夜は天の川が肉眼で見えるほど星空が濃い。9 月のくじゅう花公園や夏の登山口アクセスのベースとして、コテージ型の「自分たちのペースで過ごせる」価値は明確である。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、星空・静かな立地・客室(コテージ)の広さに対する評価が安定して高い。グループや家族での利用満足度が高い一方、ホテル型のフルサービスを期待した層からは、食事提供や送迎のスタイルに関する好み分かれが見られる。「自炊可能なコンドミニアム」「夕食付プランの選択肢」など、利用形態によって体験が大きく変わるタイプの宿である点が、集約データの読み所だ。
向く人 / 向かない人
-
向く:
3〜6 名のグループ・家族滞在、星空観察を旅程に組み込みたい人、登山やくじゅう花公園を 2 泊以上で楽しみたい旅 -
向かない:
仲居の細やかな対応や旅館の様式を求める旅、移動・運転を最小限にしたい滞在
具体情報
- 最寄り駅: JR豊後中村駅から車 35 分/九重 IC から車 30 分
- 立地: 飯田高原・標高約 1,000m、くじゅう花公園まで車 10 分
- 客室: 16 室(コンドミニアム「星生倶楽部」+一戸建てコテージ「星生平」8 棟)
- 温泉: 館内地下に内風呂+貸切湯(コンドミニアム棟)
- 食事: プランによる(夕食付・素泊まりとも可)
5. 渓谷の宿 二匹の鬼 — 九酔渓温泉
九酔渓の渓谷沿いに張り出した離れ造り。全客室に源泉掛け流しの露天風呂、夕食は個室。
21室、渓谷沿い小規模旅館。
目安価格 ¥39,000–¥48,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
九重”夢”大吊橋に近い九酔渓の渓谷沿いに、客室棟を張り出すように建てた離れ造りが特徴。21 室というやや控えめな規模で、全客室に源泉掛け流しの露天風呂を備え、夕食は個室で提供される構成は、人との距離をしっかりと取りたい層に応える。飯田高原中心部からは車で 15 分ほど離れるが、その分標高が下がり、渓谷の緑と水音の中で過ごす別軸の体験が組める。久住連山ハイキングの拠点としては少し離れるが、登山と渓谷散策を組み合わせる 2 泊以上の旅程で価値が増す宿である。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、客室の露天風呂、夕食の個室提供、渓谷を見下ろす立地への評価が安定して高い。1,800 件を超える集約口コミからは、リピート利用と季節を変えた再訪が多いことが読み取れる。一方で、坂道や階段が多い地形に注意を要する点、夕食の量や好みの分かれる素材構成について意見が割れる傾向も見られる。
向く人 / 向かない人
-
向く:
露天客室を最重要視するカップル、九重夢大吊橋・九酔渓を組み込んだ旅、夕食を他客と分けたい旅 -
向かない:
足腰に不安のある旅人、登山口至近を最優先する純粋ハイキング目的、宿の規模感や賑わいを求める旅
具体情報
- 最寄り駅: JR豊後中村駅から車 25 分/九重 IC から車 20 分
- 立地: 九酔渓温泉、九重夢大吊橋まで車 10 分、飯田高原まで車 15 分
- 客室: 21 室(離れ造り、全室源泉掛け流し露天付き)
- 食事: 夕食・朝食ともに個室提供
6. 名水の宿 宝珠屋 — 筋湯温泉
明治創業の老舗温泉旅館。筋湯温泉街の中心に位置し、価格を抑えた登山拠点として使える一軒。
29室、中規模温泉旅館(筋湯温泉)。
目安価格 ¥20,000–¥31,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
1,000 年の歴史を持つ筋湯温泉、その中心部にある明治創業の旅館。男女別大浴場・露天・女性専用露天に加え、貸切風呂が檜・石・岩の 3 種類用意され、温泉設備の充実度が際立つ。29 室と中規模クラスで価格帯も抑えめ、家族や 3 人以上のグループでハイキングのベースとして使う際に、コストと利便性のバランスが取れる一軒である。豊後牛・地獄蒸し・地元川魚を組み合わせた料理も、特別な記念日ではなく「山を歩いた後の温泉と食事」を素直に楽しむ旅に向く。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、温泉の湯量・貸切風呂の選べる楽しみ・接客の温かさへの評価が安定して高い。一方、建物自体は明治創業の老舗ゆえ、客室の設備差や築年数を感じる場面についての指摘も一定数見られる。価格帯と立地、温泉の質を考慮すれば妥当という評価が中心で、リピーターは「コストと温泉の比率」で選んでいる傾向が読み取れる。
向く人 / 向かない人
-
向く:
家族や 3 名以上のグループでの登山拠点、温泉街の雰囲気を楽しみたい旅、宿泊予算を抑えて 2 泊以上滞在する旅程 -
向かない:
築年数を感じさせない新しい客室を最優先する旅、客室露天風呂を必須条件とする旅
具体情報
- 最寄り駅: JR豊後中村駅から車 35 分/九重 IC から車 30 分
- 立地: 筋湯温泉街中心、牧の戸登山口まで車 15 分
- 客室: 29 室(和室中心)
- 温泉: 大浴場・露天・女性専用露天・貸切風呂 3 種(檜・石・岩)
- 創業: 明治期
よくある質問
Q. ベストシーズンはいつですか?
A. 6 月のミヤマキリシマ(久住山一帯がピンクに染まる)、6〜7 月のクリンソウ(タデ原湿原)、そして 7 月中旬〜8 月上旬のくじゅう花公園のラベンダー・ヒマワリ・サルビアと続く梅雨明け〜夏休み前半が、最も花のピークが重なる時期である。標高が高いため夏でも朝晩は涼しく、編集部が推す時期はこの 6 月下旬〜8 月上旬。秋は紅葉、冬は霧氷も見られる。
Q. 予約のタイミングは?
A. 高原宿は客室数が少ないため、ミヤマキリシマ期(5 月下旬〜6 月中旬)と夏休みの土曜は 2〜3 ヶ月前から埋まりやすい。平日であれば 3〜4 週前でも空きが残ることが多い。山あいの宿 喜安屋や飯田高原ボスコのような小規模宿は土曜の確保に時間がかかる傾向が強い。
Q. ハイキング起点の宿はどれですか?
A. 久住連山の主稜線へ最短アクセスとなる牧の戸登山口に近いのは 九重星生ホテル(車 5 分)と 名水の宿 宝珠屋(車 15 分)。タデ原湿原(長者原ビジターセンター)に近いのは 飯田高原ボスコ(車 8 分)。早朝 6 時に湿原を独占したいなら、長者原まで車 10 分圏の宿を選ぶ動線が組みやすい。
Q. アクセスは?
A. 大分自動車道・九重 IC から各宿まで車 20〜35 分。最寄り駅は JR 久大本線・豊後中村駅で、駅から各宿まで車 25〜35 分。公共交通の本数は限られるため、レンタカーまたは車での移動が前提となる。福岡空港・大分空港のいずれからも 2 時間前後で到達できる。
Q. 子連れでも泊まれますか?
A. 客室規模の大きい 九重星生ホテル と 名水の宿 宝珠屋 は和室・和洋室が中心で家族連れに向く。客室棟が独立しているコテージ型の スターダストヴィレッジ星生 もグループ・家族での利用に適する。一方、山あいの宿 喜安屋 と 渓谷の宿 二匹の鬼 は段差や坂道が多く、幼児連れには事前確認が必要である。
本記事の参考情報
・九重・飯田高原観光協会 — 飯田高原・湯坪・筋湯温泉エリアの公式観光情報
・Wikipedia: 九重山 — 久住連山・主稜線・登山ルートの地理的背景
・Wikipedia: タデ原湿原 — ラムサール条約登録湿原と木道ルート
編集部から
この 6 軒に通底するのは、九重連山を「眺める対象」ではなく「歩く相手」として迎える宿の姿勢だ。標高 800〜1,100m に建ち、朝の冷気と湿原の鳥の声を客室まで届け、登山靴を脱いだ後の一杯までを設計に含めている。由布院・別府の華やかさとは別の文脈で、九重・飯田高原は「動いて、休む」旅のための場所として独自の位置を持つ。あなたが歩きたいのはミヤマキリシマか、ラベンダーか、紅葉か、霧氷か。歩きたい季節が決まったら、その季節に最も合う 1 軒をこの 6 つの中から選んでみてほしい。



