京都から新快速で20分から30分、台湾からの個人手配リピーターが「京都の隣にあるもう一つの日本」として選び始めた滋賀・琵琶湖東岸の中規模宿を、編集部が6軒選んだ。3回目以上の訪日で京都・大阪を歩き尽くした旅行者が次に向かうのが、ビワイチ(琵琶湖一周のサイクリング)と、長浜・彦根・近江八幡という三つの城下町、そして近江牛である。観光船と自転車を軸に動く2026年夏の滋賀を、湖を時計回りに北から南へたどる順で案内する。
| # | ホテル | エリア | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 北ビワコホテル グラツィエ | 長浜市 | 82 | ¥24–¥46k | 長浜港隣、観光船とビワイチ北の起点 |
| 2 | 蒼の湖邸 BIWAFRONT HIKONE | 彦根市 | 50 | ¥73–¥108k | 2023年開業、湖畔温泉とグランピングの新顔 |
| 3 | ホテルニューオウミ | 近江八幡市 | 83 | ¥19–¥33k | 近江八幡駅前1分、水郷と城下町の拠点 |
| 4 | ホテルはちまん | 近江八幡市 | 58 | ¥13–¥18k | 八幡堀の城下町を歩く実用的な価格 |
| 5 | びわ湖花街道 | 大津市・雄琴 | 43 | ¥62–¥86k | 雄琴温泉の湖畔旅館、近江牛と展望露天 |
| 6 | 琵琶湖ホテル | 大津市 | 175 | ¥36–¥64k | 全室レイクビュー、京都10分の老舗リゾート |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。価格データの薄い宿は本選から除外しています。
1. 北ビワコホテル グラツィエ — 長浜市
長浜港の真横に建つ、北イタリア・ヴェローナをまとった湖畔ホテル。観光船とビワイチを結ぶ北の起点として、編集部がまず推したい一軒。
82室、湖畔シティリゾート。
目安価格 ¥24,000–¥46,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
選定の核は、長浜港に隣接するという立地である。竹生島へ渡る観光船の発着地が目の前にあり、ビワイチを北側から始める拠点としてこれ以上ない位置を占める。理由は三つ。第一に、黒壁スクエアまで徒歩圏で城下町歩きと湖船遊覧を一日に収められること。第二に、湖を望むイタリアンと近江の食材を使う和食という二系統のダイニングを持つこと。第三に、自転車を積んだまま動ける駐車環境と港アクセスが、台湾からのサイクリスト層の動線に噛み合うことである。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、長浜駅と港の双方に近い立地への評価が一貫して高い。湖側の客室から望む景観と、朝の港の静けさを挙げる声が目立つ一方、館の規模ゆえに繁忙期は朝食会場が混みやすいという傾向も読み取れる。料理は近江牛を含むコースへの満足が中心軸を成し、観光と食を一泊で両立させたい旅程に向いていると言える。
向く人 / 向かない人
- 向く: 竹生島観光船とビワイチを組み合わせる旅、長浜の城下町を歩く旅、湖景と近江牛を一泊で味わいたい人
- 向かない: 静かな小宿を求める一人旅(中規模ホテルで団体利用もある)、温泉そのものを目的とする旅程
具体情報
- 最寄り駅: JR長浜駅から徒歩約10分(タクシー約3分)
- 立地: 長浜港に隣接、竹生島観光船の発着地が目前
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: 湖畔イタリアンと和食の二系統、近江牛コースあり
- 設備: 大浴場、駐車場あり
2. 蒼の湖邸 BIWAFRONT HIKONE — 彦根市
2023年開業、彦根の湖畔に地下1500mから汲む天然温泉とグランピングを併せ持つ新顔。本選で最も差別化された一軒。
50室、湖畔温泉リゾート。
目安価格 ¥73,000–¥108,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
選定の核は、東岸ではまだ希少な「湖畔の温泉リゾート」という立ち位置である。2023年8月の開業で、琵琶湖と対岸の比良山系を一望する敷地に本館の温泉付き客室と、グランピングのヴィラ棟が散在する構成を取る。理由は三つ。第一に、地下1500mから湧く自家源泉「琵琶湖松原温泉」を備え、彦根城下の散策後に湯へ戻れること。第二に、犬連れ可のヴィラを持ち、ペット同伴の訪日層という新しい需要に応えること。第三に、ビワイチの東岸ルート上に位置し、走破後の温泉宿として機能することである。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、開業から日が浅いにもかかわらず、湖を遮るもののない眺望と新しい施設への評価が突出して高い。露天風呂付き客室と夕景の組み合わせ、近江牛や琵琶湖の魚を取り入れた食事への満足が中心を成す。一方で価格帯は本選で最も高く、滞在そのものを目的とする旅程に向く宿だと言える。観光の合間に立ち寄る拠点というより、宿で過ごす時間に価値を置く人に響く。
向く人 / 向かない人
- 向く: 記念日・カップル旅、犬連れの滞在、新しく眺望の良い湖畔温泉を求める訪日リピーター
- 向かない: 予算を抑えたい旅程、駅前で乗り換えの利便を最優先する旅、宿に戻る時間が短い周遊型の旅
具体情報
- 立地: 琵琶湖松原の湖畔、彦根城まで車で約10分圏
- 客室: 本館の温泉付き客室38室+グランピングのヴィラ12棟(うち犬連れ可9棟)
- 温泉: 自家源泉「琵琶湖松原温泉」、ジェットバス・サウナ・水風呂
- 食事: 近江牛・近江鶏・琵琶湖の魚と日本海の旬
- 開業: 2023年8月
3. ホテルニューオウミ — 近江八幡市
近江八幡駅前1分、水郷めぐりと八幡堀の城下町歩きを束ねる中核ホテル。京都から新快速で約30分の好アクセス。
83室、駅前シティホテル。
目安価格 ¥19,000–¥33,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
選定の核は、近江八幡という城下町の玄関口に立つ拠点性である。JR近江八幡駅北口の真前にあり、京都から新快速で直通約30分という距離が、京都に滞在しながら一泊だけ滋賀へ足を延ばす台湾リピーターの動線にぴたりとはまる。理由は三つ。第一に、八幡堀やヴォーリズ建築群、水郷めぐりへの起点として申し分ないこと。第二に、和・洋・中・鉄板の四つのレストランを館内に擁し、夜の選択肢が広いこと。第三に、レンタサイクルや無料の観光送迎といった、自転車・周遊の旅を後押しする運営が整っていることである。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、駅前1分という立地の利便への評価が最も安定している。観光と商用の双方に使える間口の広さ、レストランの選択肢、駐車場の規模を挙げる声が中心だ。シティホテルゆえに突出した個性を求める層には物足りなさも残るが、近江八幡を拠点に水郷と城下町を効率よく回りたい旅程には過不足がない。価格と立地のバランスを評価する向きが多いと言える。
向く人 / 向かない人
- 向く: 京都滞在に滋賀を一泊組み込む旅、水郷めぐりと八幡堀を歩く旅、駅前で乗り換えの利便を重視する人
- 向かない: 温泉を主目的とする旅程、宿そのものの個性や非日常感を最優先する滞在
具体情報
- 最寄り駅: JR近江八幡駅北口前、徒歩約1分
- アクセス: JR京都駅から新快速で直通約30分
- 食事: 和食・洋食・中華・鉄板焼の4レストラン
- 設備: 立体駐車場(250台規模)、レンタサイクル、無料観光送迎、24時間フロント
- 用途: 観光・ビジネス兼用のシティホテル
4. ホテルはちまん — 近江八幡市
八幡堀の城下町を素のまま歩くための、近江八幡駅近くの実用的な一軒。価格を抑えて滞在日数を伸ばしたい旅に向く。
58室、駅近ビジネスホテル。
目安価格 ¥13,000–¥18,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
選定の核は、価格と城下町への近さの両立である。1泊2名で¥13,000台から泊まれる価格帯は本選で最も手頃で、宿に費用をかけず近江八幡の街そのものに時間を割きたい旅に合う。理由は三つ。第一に、近江八幡駅から徒歩圏で官公庁街の静かな一角に位置し、夜も落ち着いていること。第二に、地元食材を使う和惣菜中心の朝食バイキングを備えること。第三に、屋根付きを含む駐車場と全館Wi-Fiという、自転車・車での周遊に必要な基盤が揃っていることである。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、価格に対する満足度と、朝食の地元色への評価が中心軸を成す。静かな立地と清潔さを挙げる声が安定して多い一方、ビジネスホテルの規格ゆえに客室の広さや非日常感を期待する層には物足りなさが残る傾向も見て取れる。観光の拠点として割り切り、八幡堀やヴォーリズ建築の街歩きに重心を置く旅程に向くと言える。
向く人 / 向かない人
- 向く: 宿代を抑えて滞在を延ばしたい旅、八幡堀の城下町を歩く旅、自転車や車で周遊する実務的な旅程
- 向かない: 温泉や湖景を宿に求める旅、広い客室や記念日らしい設えを望む滞在
具体情報
- 最寄り駅: JR近江八幡駅から徒歩約5〜8分
- 立地: 官公庁街の中心、静かな一角
- 食事: 地元食材を使う和惣菜中心の朝食バイキング
- 設備: 駐車場(屋根付き含む・約50台)、全館無料Wi-Fi、選べる枕
- タイプ: 駅近のビジネスホテル
5. びわ湖花街道 — 大津市・雄琴
京都から電車で20分、雄琴温泉の湖畔に建つ温泉旅館。展望露天と近江牛で「温泉も近江牛も」を一晩で叶える。
43室、湖畔温泉旅館。
目安価格 ¥62,000–¥86,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
選定の核は、京都から最短20分という近さで本格的な温泉旅館に泊まれる希少さである。雄琴温泉は比叡山の麓に湧く歴史ある湯で、花街道はその湖畔に建ち、琵琶湖を望む展望の湯と客室を持つ。理由は三つ。第一に、京都の社寺巡りを終えた夕刻にそのまま温泉へ移れる距離感が、台湾リピーターの「京都+温泉」という旅程に合うこと。第二に、近江牛を主役に据えた料理の評価が安定していること。第三に、女性に支持されるアロマエステを備え、滞在の質を一段引き上げていることである。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、京都からの近さと温泉旅館としての設えの両立への評価が中心を成す。琵琶湖を見渡す展望の湯と、近江牛を含む夕食への満足が一貫して高い。一方で価格帯は相応に上がり、宿での時間を重視する滞在型の旅程に向く。観光の合間に立ち寄る拠点というより、雄琴の湯と食を目的に据える人に響く一軒だと言える。
向く人 / 向かない人
- 向く: 京都滞在に温泉一泊を足す旅、記念日・カップル旅、近江牛と展望露天を一晩で味わいたい人
- 向かない: 予算を抑えたい旅程、城下町歩きや周遊に宿の利便を最優先する旅
具体情報
- 最寄り駅: JRおごと温泉駅から送迎圏、京都から電車で約20分
- 温泉: 雄琴温泉、琵琶湖を望む展望の湯
- 食事: 近江牛を主役にした和会席
- 設備: アロマエステ、湖側客室
- 立地: 比叡山の麓、雄琴の湖畔
6. 琵琶湖ホテル — 大津市
全室レイクビュー、京都から約10分の湖畔に建つ老舗リゾート。湖を時計回りに巡る旅の、南の締めくくりに据えたい一軒。
175室、湖畔リゾートホテル。
目安価格 ¥36,000–¥64,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
選定の核は、全室レイクビューという徹底した湖との向き合い方と、京都から約10分という近さである。大津の浜辺に建つこの老舗は、客室のいずれからも琵琶湖と対岸の比叡山系を望み、湖を主役に据えた滞在を約束する。理由は三つ。第一に、比叡山延暦寺(世界遺産)への登り口に近く、信仰の山と湖を一つの旅程に収められること。第二に、175室規模ながらリゾートとしての設えと展望大浴場を備えること。第三に、京都駅から約10分・大津駅から無料シャトルという、台湾リピーターが京都を起点に動く動線に噛み合うことである。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、全室から望む湖景への評価が圧倒的に安定している。朝夕で表情を変える湖と比叡山の眺め、展望浴場、京都からの近さを挙げる声が中心軸を成す。大規模ゆえに繁忙期の混雑を指摘する傾向も読み取れるが、湖を眺める時間そのものを旅の目的とする層には替えがたい。周遊の締めくくりとして、湖の南端で一泊する位置づけに向くと言える。
向く人 / 向かない人
- 向く: 全室レイクビューを重視する旅、比叡山延暦寺と湖を結ぶ旅程、京都を起点に動く訪日リピーター
- 向かない: 小規模で静かな宿を好む旅、城下町歩きを主軸に東岸を回る旅程
具体情報
- 最寄り駅: JR大津駅北口から無料シャトルバス約5分、京都駅から約10分
- 客室: 全175室、すべてレイクビュー
- 設備: 展望大浴場、湖畔リゾートの各種ダイニング
- 周辺: 比叡山延暦寺(世界遺産)の登り口に近い
- タイプ: 全室湖向きの老舗リゾートホテル
よくある質問
Q. ベストシーズンはいつですか?
A. 編集部が推すのは7月下旬から9月にかけての夏季である。京都が酷暑と混雑に包まれるこの時期、琵琶湖は湖風で体感がやわらぎ、ビワイチや水郷めぐりといった水辺のアクティビティが活きる。台湾の夏季休暇とも重なり、東岸の宿はこの期間に予約が集中する。湖上の花火や竹生島への観光船も夏に運航の幅が広がる。
Q. 予約のタイミングは?
A. 夏季の週末と台湾の連休期間は、湖畔の温泉宿(蒼の湖邸・びわ湖花街道)と琵琶湖ホテルから先に埋まる。2か月前を目安に動くと選択肢が広い。平日と週末で価格差が出やすく、城下町拠点のニューオウミやはちまんは比較的直前でも確保しやすい傾向がある。
Q. ビワイチ(琵琶湖一周)の拠点にできますか?
A. できる。北の起点には長浜港隣の北ビワコホテル グラツィエ、東岸の中継には蒼の湖邸 BIWAFRONT HIKONE、南の締めには琵琶湖ホテルが据えやすい。e-bikeの普及で200kmを2〜3日に分けて走る旅程が現実的になり、ニューオウミなど駅前拠点はレンタサイクルや輪行との相性も良い。
Q. アクセスは?
A. 京都駅が起点として最適である。大津まで約10分、近江八幡まで新快速で約30分、長浜・彦根へも乗り換えなしで結ばれる。関西国際空港からはJRで京都経由、中部国際空港からは米原経由が便利だ。湖の東岸はおおむね鉄道一本でたどれる。
Q. 台湾からのリピーターに向いていますか?
A. 向いている。3回目以上で京都・大阪を歩き尽くした個人手配層が、近江牛・鮒ずし・城下町・延暦寺という「京都と少し違う日本」を求めて滋賀東岸を選び始めている。本選の宿はいずれも京都から日帰り圏に近く、京都滞在に一泊だけ滋賀を組み込む柔軟な旅程に対応できる。
本記事の参考情報
・滋賀・びわ湖 観光情報(公式観光サイト) — エリアの観光・交通情報
・Wikipedia: 琵琶湖 — 湖の地理・歴史の背景
・Wikipedia: ビワイチ — 琵琶湖一周サイクリングの概要
編集部から
滋賀東岸の6軒に通底するのは、京都という巨大な観光地のすぐ隣にありながら、湖と城下町という別の文法で旅を組み立てられる点である。北の長浜港から南の大津まで、湖を時計回りにたどる三日の弧のなかに、観光船・自転車・温泉・近江牛が無理なく収まる。台湾からの三回目以上のリピーターがこの地を見つけ始めたのは、定番を終えた旅人が次に求める「もう少し奥の日本」を、滋賀がちょうど良い距離で差し出すからだろう。あなたなら、この弧のどこから湖に入り、どこで一泊を重ねるだろうか。



