鳥取・三朝温泉と岩美の浦富海岸を一泊ずつで結ぶ夏旅に合う小規模旅館として、編集部が選んだ6軒を紹介する。三朝は世界でも有数の高濃度ラドン泉が湧く湯治の里、岩美の浦富海岸は山陰海岸ジオパークを代表する海食地形の景勝地。温泉文化とジオパーク、そして7月下旬からの海開きと星空——山陰のこの一帯は、HotelPicksでこれまで空白だったエリアでもある。三徳山三佛寺・投入堂の登拝とも組み合わせやすい、二拠点の動線をMap付きで提案する。
| # | 旅館 | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 三朝温泉 清流荘 | 三朝温泉・三朝町 | 94 | 27 | ¥37–¥60k | 自家源泉かけ流し+日本海の幸、二拠点旅の起点に |
| 2 | 三朝温泉 旅館大橋 | 三朝温泉・三朝町 | 91 | 20 | ¥69–¥98k | 国登録有形文化財の木造建築+三朝唯一のトリウム泉 |
| 3 | かがり火の宿 有楽 | 三朝温泉・三朝町 | 90 | 13 | ¥51–¥63k | 高濃度ラドンと料理に全力、静かな高台の全13室 |
| 4 | 旬彩の宿 いわゆ | 三朝温泉・三朝町 | 89 | 9 | ¥51–¥73k | 築200年超・全9室、大正ロマンの小さな和宿 |
| 5 | 山陰最古の湯 岩井温泉 岩井屋 | 岩井温泉・岩美町 | 90 | 14 | ¥62–¥75k | 山陰最古の湯、全館畳敷き150年の木造三階建て |
| 6 | 浪漫伝承の宿 明石家 | 岩井温泉・岩美町 | 82 | 25 | ¥41–¥62k | 1615年創業、県内最古級の庭園露天で浦富の拠点に |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。夏休み・お盆期は¥10,000前後上昇する傾向があります。
1. 三朝温泉 清流荘 — 三朝温泉(三朝町)
三徳川のせせらぎを背に、自家源泉を引く全27室。三朝の数ある宿のなかで編集部が最初に名を挙げる一軒。
HotelPicks Score: 94 / 100 27室、旅館。
目安価格 ¥37,000–¥60,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
三朝の魅力は、世界でも有数の高濃度ラドン泉に身を浸せること。清流荘はその泉質を自家源泉のかけ流しで楽しめる点に強みがある。三徳川に面した露天、山狭の岩風呂、貸切で使える湯と、湯めぐりの選択肢が広い。全27室と規模を抑えながら、料金は同エリアの中規模宿より手が届きやすい帯に収まり、夏の二拠点旅の起点として組みやすい。日本海の地魚を主役にした会席も、土地の食を味わう旅の軸になる。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、清流荘では泉質と湯めぐりの満足度、そして日本海の幸を中心とした食事への評価が安定して高い。自家源泉かけ流しという点が繰り返し支持される一方、建物自体は昭和から改装を重ねた趣で、最新設備の真新しさを求める層とは方向性が分かれる傾向が見て取れる。家族風呂や貸切湯の使い勝手、料金に対する満足度のバランスが、総合評価を押し上げている。
向く人 / 向かない人
- 向く: 自家源泉のかけ流しと湯めぐりを重視する旅、日本海の地魚を味わいたい旅、三朝を起点に岩美側へ二拠点で動く夏旅
- 向かない: 真新しい設備や大規模リゾートの華やかさを求める旅、洋食中心の食を望む人
具体情報
- 最寄り駅: JR倉吉駅からバス約20分(三朝温泉口下車)
- 客室数: 全27室(旅館)
- 温泉: 自家源泉かけ流し(高濃度ラドン泉)、露天・岩風呂・貸切湯
- 食事: 日本海の地魚を中心とした会席
- 目安価格帯: 1泊2名 ¥37,000〜¥60,000(通常期)
2. 三朝温泉 旅館大橋 — 三朝温泉(三朝町)
1932年創業、本館や太鼓橋など5棟が国登録有形文化財。三朝温泉唯一のトリウム泉が湧く「巌窟の湯」を持つ。
HotelPicks Score: 91 / 100 20室、旅館。
目安価格 ¥69,000–¥98,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
選定の決め手は、建築そのものが文化財であるという稀有な価値。1932年の創業時の姿を残す本館や離れ、太鼓橋は1997年に国の登録有形文化財となり、宮大工の意匠を客室や廊下の随所に見て取れる。さらに三朝温泉で唯一というトリウム泉が湧く「巌窟の湯」を備え、ラドン泉巡りの旅では外せない一軒。価格帯は本記事のなかで最も高いが、建物と泉質の両方を一度に体験できる宿として推したい。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計したところ、旅館大橋は建築と泉質という二つの軸で突出した評価を得ている。文化財の空間に身を置く体験そのものへの満足度が高く、巌窟の湯の独特の雰囲気も支持を集める。歴史ある木造ゆえの趣を価値と捉える層に強く響く一方、価格帯は高めで、滞在の目的が明確な旅向きであることがうかがえる。記念の旅として選ばれる傾向が強い。
向く人 / 向かない人
- 向く: 記念日や節目の旅、建築・文化財に関心がある旅、ラドン泉とトリウム泉の両方を体験したい温泉好き
- 向かない: 宿泊費を抑えたい旅程(本記事で最も高い価格帯)、現代的なホテル設備を最優先する人
具体情報
- 最寄り駅: JR倉吉駅からバス約20分
- 客室数: 全20室(旅館)
- 創業: 1932年(本館ほか5棟が1997年に国登録有形文化財)
- 温泉: ラジウム泉+三朝唯一のトリウム泉「巌窟の湯」
- 食事: 山陰の四季を生かした創作会席
3. かがり火の宿 有楽 — 三朝温泉(三朝町)
温泉街の喧噪を離れた高台に全13室。日本一とも称される高濃度ラドンと、料理に全力を注ぐ姿勢が際立つ。
HotelPicks Score: 90 / 100 13室、旅館。
目安価格 ¥51,000–¥63,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
有楽が選ばれる理由は、泉質と食への徹底にある。三朝のなかでも特に高い濃度のラドンを謳い、温泉街の外れという立地ゆえに滞在は静かに保たれる。全13室と小さく、料理は鳥取の名工に学んだ料理人による会席が供される。観光の拠点というより、宿そのものを目的に訪れる一軒。三徳山三佛寺の投入堂登拝を翌朝に控えた前泊地としても、体を整える湯としてふさわしい。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、有楽は食事への評価が際立って高い。料理を目的に再訪する層の存在がうかがえ、静かな立地と泉質も併せて支持されている。規模が小さく、もてなしの距離が近い点も好感につながる。一方で温泉街中心部からはやや離れるため、街歩きや土産物巡りを主目的とする旅程とは相性を選ぶ。料理と湯に滞在の重心を置きたい旅に向いている。
向く人 / 向かない人
- 向く: 料理を目的に宿を選ぶ旅、静けさを優先する二人旅・一人旅、三徳山投入堂登拝の前泊
- 向かない: 温泉街の中心で土産物巡りや街歩きを主目的とする旅程、大浴場の規模を重視する人
具体情報
- 最寄り駅: JR倉吉駅からバス約20分
- 客室数: 全13室(旅館)
- 創業: 1965年
- 温泉: 高濃度ラドンを謳う温泉、温泉街の外れの静かな立地
- 食事: 鳥取の名工に学んだ料理人による会席
4. 旬彩の宿 いわゆ — 三朝温泉(三朝町)
200年以上前の建物を生かした木造三階建て、全9室。大正ロマンの空気が残る、三朝で最も小さな宿のひとつ。
HotelPicks Score: 89 / 100 9室、旅館。
目安価格 ¥51,000–¥73,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
いわゆの核は、規模の小ささが生む密度の高さ。全9室という数は三朝でも屈指の小規模で、200年以上前の建物を生かした空間は大正ロマンの趣をたたえる。自家源泉を100%かけ流しで引き、女性大浴場は地下に置かれてホルミシス効果を意識した造りになっている。彩り豊かな会席は地産地消を軸とし、静かに過ごしたい二人旅や一人旅の旅程に無理なく収まる価格帯も支持の理由といえる。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計したところ、いわゆは会席料理と源泉かけ流しの湯、そして小規模ゆえの静けさへの評価が高い。大正ロマンの建物の趣を魅力と受け止める声が中心で、しっとりとした滞在を求める層に響いている。古い木造建築であることから、段差や設備面の現代的な快適さを最優先する旅には向き不向きが分かれる。二人旅や一人旅で土地の食と湯を味わう旅程に収まりやすい。
向く人 / 向かない人
- 向く: 小規模で静かな宿を好む二人旅・一人旅、大正ロマンの建築に惹かれる旅、土地の食と湯を主役にしたい旅
- 向かない: 段差のないバリアフリー環境を要する旅、大浴場や設備の規模・新しさを優先する人
具体情報
- 最寄り駅: JR倉吉駅からバス約20分
- 客室数: 全9室(木造三階建て・旅館)
- 改名: 2005年に「名泉閣・岩湯」から改称(建物は築200年以上)
- 温泉: 自家源泉100%かけ流し、女性大浴場は地下
- 食事: 地産地消の彩り会席
5. 山陰最古の湯 岩井温泉 岩井屋 — 岩井温泉(岩美町)
山陰最古とされる岩井温泉に建つ、創業150年・全館畳敷きの木造三階建て。100%源泉かけ流しを湯巡りで味わう。
HotelPicks Score: 90 / 100 14室、旅館。
目安価格 ¥62,000–¥75,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
岩井屋の価値は、山陰最古とされる岩井温泉の歴史を、創業150年の木造三階建てでそのまま味わえること。全14室すべてが畳敷きで、源泉長寿の湯・背戸の湯・祝いの湯と趣の異なる湯を100%かけ流しで巡れる。日本秘湯を守る会の宿でもあり、温泉そのものへの真摯さが伝わる。浦富海岸まで車で20分前後と、ジオパークの海と山陰最古の湯を一泊で結ぶ岩美側の拠点として推したい。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、岩井屋は源泉かけ流しの泉質と、全館畳敷きの落ち着いた佇まいへの評価が高い。湯巡りの満足度と、秘湯らしい静けさが繰り返し支持されている。創業150年の木造建築ならではの趣を価値とする層に響く一方、近代的なホテルの快適さを基準にする旅とは相性を選ぶ。温泉そのものを目的に、山陰最古の湯に浸かりに行く旅程に向いている。
向く人 / 向かない人
- 向く: 源泉かけ流しの泉質を最優先する温泉好き、秘湯の静けさを求める旅、浦富海岸と山陰最古の湯を一泊で結ぶ動線
- 向かない: 近代的なホテルの快適さを基準にする旅、エレベーターや段差の少なさを要する人
具体情報
- 最寄り駅: JR岩美駅から車で約15分(送迎要確認)
- 客室数: 全14室(全館畳敷き・木造三階建て)
- 創業: 約150年(山陰最古とされる岩井温泉)
- 温泉: 含芒硝石膏温泉、自然湧出100%かけ流し(3つの湯)
- 浦富海岸まで: 車で約20分
6. 浪漫伝承の宿 明石家 — 岩井温泉(岩美町)
1615年創業、400年の歴史を持つ岩井温泉の老舗。県内最古級という庭園露天が、浦富海岸への旅の拠点になる。
HotelPicks Score: 82 / 100 25室、旅館。
目安価格 ¥41,000–¥62,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
明石家の魅力は、400年の時間が積もった岩井温泉の老舗という重み。1615年創業と伝わり、佐治石を用いた庭園露天は県内最古級とされる。本館の湯は天然素材で組まれ、24時間源泉が注がれる。客室はすべて間取りや意匠が異なり、歴史を体に感じながら湯に浸かれる。本記事では公開レビューの集約評価がやや控えめだが、価格と歴史の釣り合い、浦富海岸への近さを踏まえ、岩美側のもう一つの選択肢として挙げたい。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計したところ、明石家は歴史ある建物と県内最古級の庭園露天、そして価格に対する満足度がうかがえる。岩井温泉の老舗としての風格を評価する声が中心となる。総合評価は本記事の他の宿よりやや控えめで、設備の新しさよりも歴史や湯そのものに価値を見いだす旅に向く傾向が見て取れる。浦富海岸とセットで歴史の湯を訪ねたい旅程に組みやすい。
向く人 / 向かない人
- 向く: 歴史ある老舗旅館に泊まりたい旅、価格を抑えつつ岩井温泉を体験したい旅、浦富海岸の海水浴・ジオパーク観光の拠点
- 向かない: 最新設備やラグジュアリーな客室を求める旅、口コミの総合点の高さを最重視する人
具体情報
- 最寄り駅: JR岩美駅から送迎あり(要事前確認)
- 客室数: 全25室(旅館)
- 創業: 1615年(元和元年)
- 温泉: 佐治石を用いた県内最古級の庭園露天、24時間源泉注入
- 浦富海岸まで: 車で約20分(海水浴・ジオパーク観光の拠点)
よくある質問
Q. ベストシーズンはいつですか?
A. 浦富海岸は7月下旬から8月にかけて海開きを迎え、海水浴と山陰海岸ジオパークの遊覧船を楽しめる夏が一つの旬。三朝温泉のラドン泉は通年だが、夏は岩美側との二拠点旅が組みやすく、夜は星空観察にも向く。紅葉や雪見の湯を狙うなら秋から冬も趣がある。混雑と価格を避けたい場合、編集部が推すのは梅雨明け直後の平日。
Q. 予約のタイミングは?
A. お盆と夏休みの土曜は、小規模宿ほど早く埋まる。とくに全9〜14室規模の有楽・いわゆ・岩井屋は、1〜2か月前には希望日が取りづらくなることがある。平日と週末で目安価格に差が出やすく、お盆期は通常期より¥10,000前後上がる傾向。連泊や二拠点で動く場合は、三朝側・岩美側を同時に押さえておきたい。
Q. 子連れでも泊まれますか?
A. いずれも小規模旅館のため、客室の広さや段差は宿により差がある。岩美側の浦富海岸エリアは夏の海水浴と相性がよく、家族旅の拠点に向く。一方、古い木造建築のいわゆや岩井屋は段差があり、幼児連れは事前に客室タイプや入浴の制約を確認したい。明石家は全25室と比較的規模があり、家族での利用も組みやすい。
Q. アクセスは?
A. 三朝温泉はJR倉吉駅からバスで約20分。岩美・岩井温泉と浦富海岸はJR岩美駅が起点で、宿により送迎がある。三朝と岩美の間は車で1時間前後、二拠点で動くならレンタカーが便利。三徳山三佛寺・投入堂の登拝を組み込む場合は、三朝から車で約20分の三徳山が起点になる。
Q. インバウンド客の利用は?
A. 山陰は訪日リピーター層に静かな温泉地として知られ、高濃度ラドン泉と山陰海岸ジオパークという自然の希少性が評価されている。小規模旅館が中心のため、言語対応や食事の様式は宿により幅がある。和の様式や源泉かけ流しを体験したい海外からの旅行者には響くエリアで、英語の予約可否は各公式サイトでの確認が確実。
本記事の参考情報
・山陰海岸ジオパーク 公式サイト — 浦富海岸を含むジオパークの地形・見どころ
・岩美町観光協会 — 浦富海岸・岩井温泉エリアの観光情報
・Wikipedia: 三朝温泉 — ラドン泉・ホルミシスの背景
・Wikipedia: 浦富海岸 — 海食地形と歴史
編集部から
今回の6軒に通底するのは、規模の小ささと泉質への真摯さである。三朝の自家源泉かけ流しと、岩美・岩井温泉の山陰最古の湯——いずれも大型リゾートの華やかさとは別の価値で旅人を惹きつける。世界屈指のラドン泉に身を浸し、翌日は山陰海岸ジオパークの海と向き合う。この二拠点の動線は、夏の山陰をもっとも豊かに歩く一つの解だと考える。三徳山投入堂の登拝を加えるなら、どの宿を前泊地に選ぶだろうか。次は山陰のもう一方、島根側の湯の旅も訪ねてみたい。