雪の越後妻有を大人ふたりで歩き、泊まるための宿として、編集部が十日町市内から 6 軒を選んだ。越後妻有——十日町市と津南町にまたがるこの土地は、三年に一度の芸術祭の夏にだけ語られがちだが、輪郭がもっとも鮮明に出るのは積雪が三メートルに達する 1 月から 2 月である。星峠の棚田は稜線だけを残した白い階段になり、美人林のブナは霧氷をまとい、屋外に置かれた作品の多くは雪に埋もれて姿を消す。見えないこと自体が体験になる季節。宿は日本三大薬湯に数えられる松之山温泉の少室数旅館と、十日町市街・まつだい駅圏の中規模宿に大きく分かれ、雪道を自分で運転するか送迎に委ねるかで選択が変わる。
| # | 宿 | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 酒の宿 玉城屋 | 松之山湯本 | 93 | 8 | ¥128–¥159k | 雪国キュイジーヌと日本酒ペアリングに特化した 8 室の宿 |
| 2 | 醸す森 kamosu mori | 松之山黒倉 | 91 | 10 | ¥72–¥98k | 酒蔵が手がける森のオーベルジュ、95㎡の別邸まで室型が広い |
| 3 | ひなの宿 ちとせ | 松之山湯本 | 90 | 25 | ¥63–¥95k | 薬湯の源泉かけ流しと里山の食を軸にした温泉街の中核 |
| 4 | 旅館 清水屋 | 十日町市街 | 89 | 15 | ¥15–¥20k | 十日町駅東口から徒歩 2 分、雪の街歩きの拠点になる実用宿 |
| 5 | 民芸味の宿 白川屋 | 松之山湯本 | 88 | 13 | ¥22–¥33k | 源泉に最も近い立地、全 13 室が和室の素朴な湯宿 |
| 6 | まつだい芝峠温泉 雲海 | まつだい・蓬平 | 87 | 23 | ¥38–¥43k | 雪原と雲海を見下ろす高台の露天風呂、星峠の棚田に近い |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。2027年1〜2月の1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。旅館 清水屋のみ冬季の掲載が確認できず、通年の集計値を示しています。
1. 酒の宿 玉城屋 — 十日町市 松之山湯本
雪に埋もれた温泉街に 8 室だけ。新潟の酒と皿を一対で組み立てる、越後妻有でいま最も語られる一軒。
HotelPicks Score: 93 / 100 8室、松之山温泉の小規模旅館。
目安価格 ¥128,000–¥159,000 / 泊 (2名1室・2027年1〜2月)

なぜ選ばれるか
選定の決め手は、宿の機能を「食と酒」に一点集中させた設計にある。フランス料理とイタリア料理の技法を土台に、松之山の風土と冬の食材を組み立てた「雪国キュイジーヌ」を、新潟の日本酒とワインのペアリングで通す。8 室のうち 6 室が源泉かけ流しの露天風呂付きで、客ごとに眺望が異なる。規模を増やさず一組あたりの手間を厚くする運営方針が、豪雪期の宿としての完成度を押し上げている。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、評価は食事と酒の組み立てに集中する。料理の一皿ごとに酒が替わる進行そのものを滞在の主題として受け止める記述が多く、温泉と客室はそれを支える環境として語られる傾向が読み取れる。一方で、価格帯が地域平均から大きく離れているため、費用と体験の釣り合いをどう見るかで印象が分かれる。夜の食事に時間を割く前提が合わない旅程では、満足度が下がりやすい。
向く人 / 向かない人
-
向く:
食と酒を旅の主目的にする大人ふたり、記念日の一泊、雪見の露天風呂を客室で完結させたい人 -
向かない:
予算を 1 泊 5 万円台までに抑えたい旅程、飲酒しない旅(ペアリングの価値が薄れる)、日中に美術館や棚田を詰め込んで夜は短時間で済ませたい行程
具体情報
- 所在: 新潟県十日町市松之山湯本13(松之山温泉街の中ほど)
- 客室: 全 8 室(源泉かけ流し露天風呂付き 6 室/洋室 2 室)
- 最寄り駅: 北越急行ほくほく線 まつだい駅からタクシー
- 食事: 夕食・朝食とも館内。日本酒/ワインのペアリングを軸にしたコース
- 冬の要点: 雪見露天を掲げる通年営業。温泉街まで県道の除雪は入るが、宿前は徒歩移動が前提
2. 醸す森 kamosu mori — 十日町市 松之山黒倉
温泉街から離れた森の中、酒蔵が営むオーベルジュ。16㎡から 95㎡まで、室型の幅がそのまま予算の幅になる。
HotelPicks Score: 91 / 100 10室、松之山黒倉のオーベルジュ。
目安価格 ¥72,000–¥98,000 / 泊 (2名1室・2027年1〜2月)

なぜ選ばれるか
この宿の面白さは、松之山温泉の温泉街ではなく黒倉の森の側に立っている点にある。湯は硫黄を含む松之山黒倉温泉「じょうもんの湯」で、湯本の濃い塩化物泉とは肌ざわりが違う。客室は 16㎡ のツインから、屋外スペースを備えた 95㎡ の別邸「森羅」まで 10 タイプに分かれ、ふたり旅の予算に合わせて滞在の重心を変えられる。地元の酒造が運営に関わり、食と発酵を軸に据えた構成も、他の松之山の宿と明確に線を引く。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、料理とワイン・日本酒の合わせ方、そして森に面した静けさへの評価が高い水準で揃う。客室タイプの幅が大きいぶん、どの部屋を取ったかで滞在の印象が変わる点も傾向として読み取れる。小さめのツインを選ぶと価格は抑えられるが、窓外の景色と広さを期待していた場合には落差が生まれやすい。予約時に室型を意識的に選ぶかどうかが、満足度を左右している。
向く人 / 向かない人
-
向く:
温泉街の賑わいより森の静けさを取る旅、部屋の広さで予算を調整したいふたり、発酵と食の話題に関心がある人 -
向かない:
浴衣で温泉街を歩きたい旅(湯本まで距離がある)、雪道の運転を避けたい人、和室での就寝を望む人
具体情報
- 所在: 新潟県十日町市松之山黒倉1879-4(電話 025-596-2200)
- 客室サイズ: 16㎡〜95㎡(ツイン/キング/和洋/別邸「森羅」)
- 温泉: 松之山黒倉温泉「じょうもんの湯」、硫黄を含む泉質
- 食事: 館内レストランでディナー。週末はランチ営業あり
- 設備: 温泉「じょうもんの湯」(貸切利用)、シャワー
- 最寄り駅: 北越急行ほくほく線 まつだい駅から車。送迎あり(要予約)
3. ひなの宿 ちとせ — 十日町市 松之山湯本
松之山温泉のまんなかに立つ 25 室。薬湯と里山の食を、旅館の型のまま丁寧に通す一軒。
HotelPicks Score: 90 / 100 25室、松之山温泉の中規模旅館。
目安価格 ¥63,000–¥95,000 / 泊 (2名1室・2027年1〜2月)

なぜ選ばれるか
松之山温泉で最も多くの旅行者が通過する宿であり、この温泉地の標準値をつくっている存在と言える。日本三大薬湯とされる濃厚な源泉をかけ流しで使い、十日町の棚田米や温泉熱を利用した調理(湯治豚)など、土地の食文化を献立の側から見せる。25 室のうち温泉スイート・特別室・離れまで室型が揃い、ふたり旅の予算に応じて選べる。館内に読書用のライブラリーを置くなど、雪で外出が制限される時間の受け皿も用意されている。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、湯そのものへの評価と、地元食材を主題化した食事への評価が並んで高い。件数が多く、長期にわたって水準が安定している点も特徴である。一方で施設は歴史のある旅館であり、最新のホテル的な設備感を期待した場合には差を感じやすい。加えて温泉街の中心にあるため、館の外の静けさを最優先する旅では、立地の利便性と引き換えになる部分が出る。
向く人 / 向かない人
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向く:
温泉そのものを主目的にする旅、旅館の様式を体験したい海外からの旅行者、雪で予定が崩れても館内で過ごせる余白がほしいふたり -
向かない:
ホテル的な内装と設備を求める人、完全に人の気配のない環境を望む旅、極端に短い滞在で湯に浸かる時間を取れない行程
具体情報
- 所在: 〒942-1432 新潟県十日町市松之山湯本49-1
- 客室: 全 25 室(温泉スイート 1/温泉セミスイート 1/特別室 3/準特別室 2/和洋室 3/和室 14/離れ 1)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
- 温泉: 松之山温泉の源泉かけ流し。日本三大薬湯に数えられる濃厚な泉質
- 食事: 里山の食材を軸にした夕食。十日町の棚田米、温泉熱を用いた湯治豚
- 館内: ライブラリーあり。雪見風呂の記載あり
4. 旅館 清水屋 — 十日町市 昭和町(十日町市街)
十日町駅東口から徒歩 2 分。雪の街を歩き、へぎそばと着物の文化圏を巡るための拠点。
HotelPicks Score: 89 / 100 15室、十日町市街の小規模旅館。
目安価格 ¥15,000–¥20,000 / 泊 (2名1室・通年集計)

なぜ選ばれるか
豪雪期の越後妻有で、雪道の運転を旅程から外せる数少ない選択肢である。JR 十日町駅東口から徒歩 2 分。市街には十日町市博物館や、へぎそばの店、きもの文化の名残を伝える施設が徒歩圏で並ぶ。全館に無線 LAN、駐車場を備え、客室は近年リフォームされている。朝食に十日町産コシヒカリと郷土料理を出す構成も、街を歩く旅の起点として理にかなう。松之山の宿と組み合わせ、2 泊目をここに置く使い方も成り立つ。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、価格に対する食事と清潔さの評価が突出して高い。件数は多くないものの水準は安定しており、駅至近という立地の明快さが評価を押し上げている。一方でこの宿は温泉旅館ではなく、露天風呂や大浴場を主目的にする旅とは前提が異なる。設えも実用側に振れており、非日常性を求める滞在では物足りなさが出る。役割を理解して選べば外れにくい、という性質の宿である。
向く人 / 向かない人
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向く:
公共交通だけで越後妻有に入るふたり、雪道の運転を避けたい旅、宿泊費を抑えて食と移動に配分したい旅程 -
向かない:
温泉・露天風呂が旅の主目的の人、記念日の特別感を求める滞在、館内で長時間を過ごしたい行程
具体情報
- 所在: 新潟県十日町市昭和町4丁目
- 最寄り駅: JR 十日町駅 東口から徒歩 2 分
- 客室: 和室・洋室あり。近年リフォーム済み、寝具はシモンズ/西川
- 食事: 朝食は十日町産コシヒカリと地元野菜を使った郷土料理
- 設備: 全館無線 LAN(Wi-Fi)完備、駐車場あり
5. 民芸味の宿 白川屋 — 十日町市 松之山湯本
源泉に最も近い宿として知られる 13 室。松之山の湯を、飾らない和室で受け取る。
HotelPicks Score: 88 / 100 13室、松之山温泉の小規模旅館。
目安価格 ¥22,000–¥33,000 / 泊 (2名1室・2027年1〜2月)

なぜ選ばれるか
松之山温泉の源泉にもっとも近い位置にあり、湯の力をそのまま受け取れる宿として支持されている。全 13 室が和室で、設えは民芸調。豪雪期は寒さで旨みを増す地元食材を使った鍋料理が中心に据えられ、山菜・きのこなど季節ごとに献立が入れ替わる。価格帯は松之山の宿の中では中位に収まり、湯と食を主目的にしつつ予算を抑えたいふたり旅に対して、この地域で最も釣り合いのよい選択肢のひとつになる。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、湯の質と料理の量・満足感に評価が集中する。件数は多くないが評点は高い位置で安定しており、家族経営規模ならではの目配りが繰り返し言及される傾向が読み取れる。一方で建物や客室は現代的なリノベーションを施したものではなく、洋室やベッドを望む旅とは前提が合わない。チェックインが 19:00 までと早いため、日中の移動計画にも制約が生じる。
向く人 / 向かない人
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向く:
湯と鍋料理を主目的にする冬旅、和室での滞在に抵抗がないふたり、松之山に 2 泊して 1 泊を抑えたい旅程 -
向かない:
ベッド・洋室を望む人、夕方以降に到着する行程(チェックインは 19:00 まで)、デザイン性の高い内装を期待する旅
具体情報
- 所在: 新潟県十日町市松之山湯本55-1(源泉に最も近い宿)
- 客室: 全 13 室、全室和室
- チェックイン: 要確認(宿泊プランにより異なる)
- 食事: 冬は地元食材の鍋料理が中心
- アクセス: ほくほく線 まつだい駅からタクシー約 15 分/東頸バス松之山温泉行きで約 26 分
- 車: 関越道 小千谷IC から約 60 分、北陸道 柏崎IC から約 75 分
6. まつだい芝峠温泉 雲海 — 十日町市 蓬平(まつだい)
高台の露天風呂の縁の先に、雪原と雲海。星峠の棚田へ最も近い、風景を主目的にする一軒。
HotelPicks Score: 87 / 100 23室、まつだい・蓬平の高台の温泉宿。
目安価格 ¥38,000–¥43,000 / 泊 (2名1室・2027年1〜2月)

なぜ選ばれるか
宿の主題が明快に「風景」に置かれている。標高のある芝峠に立ち、露天風呂の縁が谷側で切れているため、八海山・巻機山・苗場山へ連なる魚沼の山並みと、その手前に湧く雲海が湯に浸かったまま視界に入る。冬は雪をかぶった山と雲海が同時に見える条件が揃いやすい。星峠の棚田へ最も近い宿でもあり、夜明け前に出て雪の棚田を撮り、戻って湯に入る——という写真中心の旅程を、ここだけが無理なく成立させる。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、眺望と露天風呂に評価が集中し、件数も豊富である。日帰り入浴を受け入れている施設のため公共宿的な性格が強く、客室や館内の設えを最新の温泉旅館と比べると評価が割れる。食事は価格帯に見合った内容として受け止められる傾向で、料理を旅の主目的にする層とは軸がずれる。何を買いに行くかを決めて選べば、満足度は高く安定する宿である。
向く人 / 向かない人
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向く:
星峠の棚田を早朝に撮りたいふたり、眺望のある露天風呂を最優先する旅、車で越後妻有を回る旅程 -
向かない:
食事を旅の主目的にする人、静かな貸切感を求める滞在(日帰り入浴あり)、公共交通のみで移動する旅程
具体情報
- 所在: 〒942-1544 新潟県十日町市蓬平(電話 025-597-3939)
- 客室: 23 室
- 最寄り駅: ほくほく線 まつだい駅からタクシー約 10 分/町営バス桐山行き 約 20 分「芝峠温泉」下車すぐ
- 泉質: ナトリウム塩化物強塩温泉
- 日帰り入浴: 10:00〜20:00、毎週水曜休。貸切露天風呂は要予約(60 分)
- 駐車場: 70 台(無料)
よくある質問
Q. 冬に越後妻有を訪れるベストシーズンはいつですか?
A. 積雪が安定するのは 1 月中旬から 2 月中旬で、編集部が推す時期もここに重なる。星峠の棚田が完全に雪で覆われ、美人林のブナに霧氷がつく確率が高いのはこの期間である。2 月下旬以降は日中の気温が上がって雪面が緩み、写真の質が落ちやすい。年末年始と 2 月の連休は宿の価格が上がるため、平日を選べれば条件はよくなる。
Q. 予約はいつから始めればよいですか?
A. 松之山温泉の宿は総客室数が少なく、玉城屋や醸す森のような 10 室前後の宿は 2〜4 か月前には週末が埋まり始める。1〜2 月の土曜を狙うなら 10〜11 月には動きたい。平日であれば直前でも取れることが多い。キャンセル規定は宿ごとに差が大きく、少室数の宿ほど期限が早い傾向にあるため、確定前に確認しておく。
Q. 雪道の運転は必要ですか。レンタカーなしでも回れますか?
A. 十日町市街と松之山温泉の間は東頸バスが結んでおり、まつだい駅からタクシーを使う方法もある。公共交通だけで完結させるなら、十日町駅至近の清水屋で拠点を固め、松之山へは日帰りで往復する組み立てが現実的である。星峠の棚田や集落の作品を回るなら車が要る。レンタカーを借りる場合は四輪駆動と冬タイヤを指定し、日没後の移動を減らす。宿の送迎は範囲と時刻が限られるため、予約時に必ず確認したい。
Q. 冬に屋外の作品は見られますか?
A. 越後妻有に点在する屋外作品の多くは、積雪期には雪に埋もれて見えなくなる。冬に開いている施設は限られ、屋内展示を持つ拠点が中心になる。「作品を数多く見る」旅としては夏に劣るが、雪で消えた風景そのものを見に行く旅としては冬にしか成立しない。訪問前に各施設の冬季開館状況を確認しておくのが前提になる。
Q. 海外からの旅行者でも滞在しやすいですか?
A. 松之山温泉は日本三大薬湯として海外の温泉愛好者にも知られており、旅館の様式をそのまま体験できる点が評価されている。ただし積雪期の公共交通は本数が少なく、英語の案内も限定的である。上越新幹線・越後湯沢経由でほくほく線に乗り継ぐ経路を事前に固め、到着時刻を宿へ伝えておくと滞在が安定する。
本記事の参考情報
・十日町市観光協会 — 十日町市・松之山エリアの観光情報と冬季の交通
・大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ — 越後妻有の作品・施設の開館情報
・Wikipedia: 松之山温泉 — 泉質と温泉地の歴史的背景
編集部から
6 軒を貫く選定軸は、雪で予定が削られることを前提に、削られた時間を宿の側がどう引き受けるかという一点にある。玉城屋と醸す森は夜の食卓に、ちとせと白川屋は湯に、雲海は窓の外の風景に、清水屋は街への近さにその答えを置いた。越後妻有の冬は、見えるものを増やす旅ではなく、見えないことを引き受ける旅である。三メートルの雪の下に棚田も作品も沈んだあと、そこに何が残るのか——次はその問いを、雪解けの 4 月に訪ねてみたい。