富士山に登る前夜と下山した日に泊まる宿として、編集部は富士吉田・河口湖・御殿場から5軒を選びました。2026年の夏山シーズン(吉田ルートは7月1日〜9月10日)は、山梨・静岡の両県で午後2時から翌午前3時までの入山が山小屋宿泊者に限られ、通行料・入山料は4ルートとも1人4,000円に揃いました。夜通し登る弾丸登山は、制度の上で成立しにくくなっています。シーズンを終えた今、来季の計画を立てる人に向けて、五合目行きバスの起点に近いこと、下山後に湯に入れること、装備を預けられること、の3点を軸に選定しています。

# ホテル エリア Score 客室 目安価格 1行特徴
1 ホテルマイステイズ富士山 展望温泉 富士吉田市 92 159 ¥24–¥30k 最上階の天然温泉展望大浴場。下山日の回復泊向き
2 河口湖ステーションイン 富士河口湖町 91 15 ¥10–¥13k 河口湖駅の目の前。4階の展望風呂から富士山
3 ホテルルートイン御殿場駅南 御殿場市 90 136 ¥14–¥17k 御殿場駅徒歩約4分。須走口・御殿場口行きバスの起点
4 天然温泉 富士桜の湯 ドーミーインEXPRESS富士山御殿場 御殿場市 89 149 ¥14–¥25k 天然温泉+サウナ+強冷水風呂。車利用の下山泊向き
5 富士山ステーションホテル 富士吉田市 87 56 ¥18–¥21k 富士山駅徒歩2分。荷物預かり・宅配・ランドリーが揃う

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

2026年の規制と、麓の宿の役割

宿を選ぶ前に、2026年シーズンの決まりを整理しておきます。山梨県側の吉田ルートは、五合目の登山道入口ゲートを午後2時から翌午前3時まで閉鎖し、1日の登山者が4,000人に達した時点でも閉じる運用でした。どちらも山小屋の宿泊者は対象外です。通行料は1人1回4,000円。防寒具、上下に分かれた雨具、登山に適した靴の3点を五合目で確認し、揃っていなければ通行できません。

静岡県側の富士宮・御殿場・須走の3ルートも、入山料は1人4,000円。午後2時から翌午前3時までに入山する場合は山小屋の宿泊が必須で、五合目の入口で予約を確認します。加えて、入山前に県の事前登録システム「静岡県FUJI NAVI」での登録と、ルール・マナーの事前学習の修了が求められました。

つまり、山小屋に泊まらない日帰り登山は「午前3時以降に入山し、午後2時より前に五合目を出る」ことが前提になり、山小屋泊の行程でも当日の移動に余裕が要ります。前夜に麓へ入り、下山した日はもう1泊する。この2泊を足す組み方が、規制下の富士登山では最も無理のない動線だと編集部は考えます。来季の規制内容は両県の発表を待つ必要がありますが、宿の選び方の軸は変わらないはずです。

1. ホテルマイステイズ富士山 展望温泉 — 富士吉田市

富士急ハイランド駅から歩いて5分、最上階に天然温泉。下山した日の身体を戻す宿として、編集部が最初に推す一軒。

HotelPicks Score: 92 / 100  159室、温泉大浴場付きの中規模ホテル。

目安価格 ¥24,000–¥30,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ホテルマイステイズ富士山 展望温泉 — 山梨県富士吉田市・富士急ハイランド駅徒歩5分 · 最上階に天然温泉の展望大浴場を備える159室のホテル外観
PHOTO: ホテルマイステイズ富士山 展望温泉 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

登山ベースとしての核は、下山後に館内で温泉に入れることです。最上階の展望大浴場は天然温泉で、歩き通した脚をそのまま湯に沈められます。富士急ハイランド駅から徒歩5分、河口湖駅へは電車でひと駅という位置にあり、五合目行きバスの起点へ出やすい点も選定理由のひとつ。チェックアウトが11時と遅めで、下山翌朝をゆっくり過ごせることも登山者の旅程に合います。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、客室や浴場から見る富士山の眺望への評価が際立って多く、次いで温泉、食事、清掃の順に支持が集まる傾向が見て取れます。一方で、客室の広さについては物足りなさを指摘する声が一定数あり、価格帯を高めと受け止める層もいます。眺望と湯を目的に泊まる宿、と割り切ると満足度が安定する一軒と言えます。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    下山日にもう1泊して温泉で身体を戻したい人、富士山側の客室から登った山を眺めたい一人旅、電車と路線バスで動く旅程
  • 向かない:
    宿泊費を抑えたい前夜泊だけの利用(同エリアの駅前宿より価格帯が上)、広い客室で装備を広げたい人(客室は16〜28㎡)

具体情報

  • 最寄り駅: 富士急行線 富士急ハイランド駅から徒歩 5 分(河口湖駅へ電車でひと駅)
  • 車: 中央自動車道 河口湖ICから約 10 分
  • 客室サイズ: 16〜28 ㎡
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 風呂: 最上階に天然温泉の展望大浴場
  • 開業: 2016年12月


2. 河口湖ステーションイン — 富士河口湖町

河口湖駅の目の前に全15室。五合目行きバスの起点まで歩いて1分足らずの、前夜泊のための一軒。

HotelPicks Score: 91 / 100  15室、駅前の小規模な和室の宿。

目安価格 ¥10,000–¥13,000 / 泊 (2名1室・通常期)


河口湖ステーションイン — 山梨県富士河口湖町・河口湖駅前 · 4階の展望風呂の窓越しに富士山を望む全15室の宿
PHOTO: 河口湖ステーションイン — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

選んだ理由は、立地の一点に尽きます。富士スバルライン五合目へ向かう路線バスは河口湖駅を経由し、この宿はその駅の目の前。朝の移動がほぼゼロになります。チェックインは14時からと早めで、到着日は荷を解いてすぐ4階の展望風呂へ。窓の正面に、翌日登る山が見えます。チェックイン前とチェックアウト後の荷物預かりに対応している点も、登山者には実用的です。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、駅からの近さへの言及が群を抜いて多く、富士山の眺望、清掃、展望風呂がそれに続く傾向です。弱点として挙がりやすいのは、館内の上下移動、客室に風呂がなく共用であること、建物の古さの3点。設備の新しさよりも位置と眺めを取る宿である、と理解したうえで選ぶ人の評価が高いことが印象に残ります。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    早朝に五合目へ向かう前夜泊、宿泊費を抑えたい一人旅や少人数の登山グループ、和室に布団で眠りたい人
  • 向かない:
    客室内に風呂を求める人(和室は共用バスルーム)、新しい設備を重視する人、現地でクレジットカード払いをしたい人(現地決済は現金)

具体情報

  • 最寄り駅: 富士急行線 河口湖駅の目の前(河口湖畔まで徒歩 8 分)
  • 五合目へ: 河口湖駅から富士スバルライン五合目行きの路線バスで約 55 分
  • 客室サイズ: 10〜33 ㎡(和室14室、ベッドルーム1室)
  • チェックイン: 14:00〜 / アウト 〜10:00
  • 風呂: 4階展望風呂 14:00〜23:00、6:00〜9:00
  • 駐車場: 6台(要予約)
  • その他: 全館禁煙、荷物預かり可


3. ホテルルートイン御殿場駅南 — 御殿場市

御殿場駅から約300m。須走口・御殿場口へ向かう登山バスの起点に歩いて出られる、静岡側の前夜泊の定番。

HotelPicks Score: 90 / 100  136室、大浴場付きのビジネスホテル。

目安価格 ¥14,000–¥17,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ホテルルートイン御殿場駅南 — 静岡県御殿場市・御殿場駅徒歩約4分 · ラジウム人工温泉の大浴場「旅人の湯」を備える136室のホテル
PHOTO: ホテルルートイン御殿場駅南 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

静岡県側の登山口を使うなら、駅に近い宿であることが動線を決めます。須走口五合目行きも御殿場口新五合目行きも、登山バスは御殿場駅が起点。ここから駅までは約300mです。大浴場は深夜2時まで、朝は5時から開いており、早朝出発の前にも湯を使えます。朝食は6時30分からの無料バイキングで、歩く前の食事を宿で済ませられる点も推す理由です。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、朝食への評価が最も多く、駅からの近さ、富士山側客室の眺望、清掃、大浴場が続く傾向です。気になる点としては客室の広さとベッドに関する指摘が少数見られます。派手さはないものの、評価の内訳が偏らず安定しており、登山の前後に必要な要素を過不足なく備えた一軒と感じられます。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    須走ルート・御殿場ルートの前夜泊、電車とバスだけで動く一人旅、朝食をしっかり取ってから歩き始めたい人
  • 向かない:
    天然温泉にこだわる人(大浴場は人工温泉)、宿そのものを旅の目的にしたい人、駐車場を確約したい車利用(52台・先着順)

具体情報

  • 最寄り駅: JR御殿場線 御殿場駅から約 300 m、徒歩約 4 分
  • 五合目へ: 御殿場駅から須走口五合目まで路線バスで約 60 分、御殿場口新五合目まで約 30 分
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 風呂: ラジウム人工温泉大浴場 15:00〜2:00、5:00〜10:00
  • 食事: 朝食は無料の和洋バイキング(6:30〜9:00)
  • 駐車場: 52台(先着順)
  • その他: コインランドリーあり


4. 天然温泉 富士桜の湯 ドーミーインEXPRESS富士山御殿場 — 御殿場市

天然温泉に半露天、セルフロウリュのサウナ。大砂走りを下りた日の夜に、編集部が選びたい御殿場の一軒。

HotelPicks Score: 89 / 100  149室、天然温泉とサウナ付きのホテル。

目安価格 ¥14,000–¥25,000 / 泊 (2名1室・通常期)


天然温泉 富士桜の湯 ドーミーインEXPRESS富士山御殿場 — 静岡県御殿場市・御殿場ICから車で約3分 · 天然温泉とセルフロウリュサウナを備える149室のホテル正面
PHOTO: 天然温泉 富士桜の湯 ドーミーインEXPRESS富士山御殿場 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

下山日の宿として評価したのは、風呂の充実です。御殿場乙女温泉から運ぶ天然温泉の内湯と半露天風呂に、セルフロウリュのドライサウナ、強冷水の水風呂、外気浴スペースまで揃います。大浴場は15時から翌朝10時まで開いており、遅い下山にも対応しやすい。チェックアウトは11時。御殿場ICから車で約3分、駐車場が無料という条件は、車で登山口の駐車場へ向かう人の旅程に合います。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、朝食を中心とする食事への評価が最も多く、温泉、清掃、眺望がこれに続きます。弱点として挙がるのは客室の広さで、スタンダードな客室はコンパクトと受け止められる傾向です。風呂と朝食に価値を置く人ほど評価が高く、客室で長く過ごす滞在とは相性が分かれる、という構図が読み取れます。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    下山日に温泉とサウナで身体を戻したい人、車で動く登山者、チェックアウトを遅めにして翌朝を休養に充てたい旅程
  • 向かない:
    御殿場駅から歩いて宿へ向かいたい人(駅から徒歩約30分、タクシーで約7分)、朝食込みの料金を前提にする人(朝食は別料金 大人2,500円)

具体情報

  • 最寄り駅: JR御殿場線 御殿場駅 乙女口から徒歩約 30 分(タクシー約 7 分)
  • 車: 東名高速道路 御殿場ICから約 3 分
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 風呂: 1階 天然温泉大浴場 15:00〜翌10:00(サウナは1:00〜5:00休止)
  • 食事: 朝食は和洋バイキング 6:30〜9:30(大人 2,500 円)
  • 駐車場: 無料(第1・第2駐車場)
  • 開業: 2022年2月23日


5. 富士山ステーションホテル — 富士吉田市

富士山駅から徒歩2分、全56室。荷物預かりとコインランドリーが揃う、装備の出し入れに強い駅前の一軒。

HotelPicks Score: 87 / 100  56室、駅前のビジネスホテル。

目安価格 ¥18,000–¥21,000 / 泊 (2名1室・通常期)


富士山ステーションホテル — 山梨県富士吉田市・富士山駅徒歩2分 · 朝食無料とコインランドリーを備える全56室の駅前ホテル外観
PHOTO: 富士山ステーションホテル — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

風呂ではなく、荷物の扱いやすさで選んだ宿です。滞在中の荷物預かりは無料で、到着日は朝7時から預けられます。宅配便の事前受け取りと発送にも対応しており、下山後の汚れた装備を館内のコインランドリーで洗ってから送り返す、という段取りが組めます。五合目行きの路線バスが出る富士山駅まで徒歩2分。全室にシモンズ社製ベッドを入れている点も、前夜の睡眠を重視する人に向きます。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、駅からの近さへの評価が突出しており、朝食、清掃、眺望、客室の広さがこれに続く傾向です。一方で、建物や設備の古さを指摘する声が他の4軒より多く、朝食の内容についても評価が分かれます。館内に大浴場と夕食のレストランはなく、機能を絞った駅前宿として選ぶのが適切と言えます。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    富士山駅からバスで五合目へ向かう前夜泊、装備を宅配で送り受けしたい人、車で来て無料駐車場に停めたい人
  • 向かない:
    下山後に館内で大浴場に入りたい人(大浴場なし。近隣の「ふじやま温泉」は2026年10月時点で休館中)、朝食を早朝に取りたい人(朝食は7:00〜)、館内で夕食を取りたい人

具体情報

  • 最寄り駅: 富士急行線 富士山駅から徒歩 2 分
  • 五合目へ: 富士山駅から富士スバルライン五合目行きの路線バスで約 65 分
  • 客室サイズ: 18〜21 ㎡
  • チェックイン: 15:00〜22:00 / アウト 〜10:00
  • 食事: 朝食は無料の簡易ビュッフェ(7:00〜9:00)、夕食の提供なし
  • 駐車場: 35台・無料
  • その他: コインランドリー(洗濯 400 円、乾燥 100 円/20分)、全館禁煙
  • 開業: 2015年4月(現名称)


よくある質問

Q. ベストシーズンはいつですか?

A. 2026年の開山期間は、吉田ルートが7月1日〜9月10日、静岡県側が7月上旬〜9月10日でした。梅雨明け後の7月下旬から8月上旬は天候が安定しやすい一方、週末とお盆は混雑します。編集部が推すのは、8月下旬から9月上旬の平日。来季の日程は両県の発表で確認してください。

Q. 予約のタイミングは?

A. 先に山小屋と登山日を決め、その前後の日付で麓の宿を押さえる順番が確実です。富士山ステーションホテルは半年前の1日から予約を受け付けています。河口湖駅前の小規模な宿は室数が少なく、夏の週末は早く埋まる傾向があるため、日程が固まった時点で動くのが安全です。

Q. 弾丸登山はもうできないのですか?

A. 2026年は、午後2時から翌午前3時までの入山が山小屋宿泊者に限られました。吉田ルートはこの時間帯に五合目のゲートが閉まり、静岡県側3ルートは入口で山小屋の予約を確認します。夜に五合目を出て山頂で御来光を待つ行程は、山小屋に泊まらない限り組めません。

Q. 五合目へのアクセスは?

A. 吉田ルートは富士山駅・河口湖駅から富士スバルライン五合目行きの路線バスに乗ります。河口湖駅から約55分、片道2,000円、往復3,400円(2026年10月時点。夏季は別ダイヤ)。静岡県側は御殿場駅が起点で、2026年夏は須走口五合目まで約60分・片道1,780円、御殿場口新五合目まで約30分・片道1,280円でした。

Q. 下山した日に日帰りで帰るのは難しいですか?

A. 帰ること自体は可能ですが、下山後は脚の疲労と眠気が重なります。五合目からバスで駅へ戻り、そこから長距離を移動するより、麓でもう1泊して湯に入り、翌朝に帰る旅程を編集部は推します。温泉大浴場のある宿を下山日に、駅前の宿を前夜に、と使い分けると費用も抑えられます。

Q. 登山装備は宿で預けられますか?

A. 河口湖ステーションインはチェックイン前とチェックアウト後の荷物預かりに対応しています。富士山ステーションホテルは滞在中の預かりが無料で、宅配便の事前受け取りと発送も可能です。山小屋泊で宿を空ける日の扱いは宿ごとに異なるため、予約時に確認しておくと安心です。

本記事の参考情報

・山梨県: 令和8年度の富士登山について — 吉田ルートの通行料・ゲート閉鎖時間・人数上限
・静岡県: 富士登山のルール — 富士宮・御殿場・須走ルートの入山料と入山規制
・富士登山オフィシャルサイト — 開山期間・登山口へのアクセス・山小屋情報

編集部から

5軒に通底するのは、宿そのものの豪華さではなく、登山の行程のどこを支えるかがはっきりしていることです。駅の目の前で眠る前夜と、温泉で脚をほぐす下山日。役割の違う2泊を組み合わせると、午後2時の線引きは制約ではなく、行程に余白をつくる目安に変わります。吉田側か、静岡側か。山小屋に泊まるか、午前3時以降に出て日帰りで歩くか。来季の一本を決めるとき、最初に押さえるのは登山口でしょうか、それとも下山した夜の湯でしょうか。

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