高山・松本・富山という三つの城下町を結ぶ旅に合う小規模ホテルとして、編集部が6軒を選んだ。北陸新幹線と中央線・高山本線を乗り継げば、この三都は1〜2時間圏でつながる。京都や東京の混雑を一度経験した欧米圏のリピーターが、次に向かうのはこうした「静けさが残る内陸の町」である。武家屋敷の跡地、宮川沿いの町家、1300年の湯——それぞれの町が持つ時間の層に、そのまま滞在できる宿を、公開レビューデータを集計したうえで選別している。

# ホテル エリア Score 客室 目安価格 1行特徴
1 本陣平野屋 花兆庵 岐阜・高山市本町 92 26 ¥109–¥147k 高山陣屋と赤い中橋まで徒歩1分。屋上に町を見下ろす露天風呂
2 旅館 田邊 岐阜・高山市相生町 90 22 ¥75–¥95k 1934年創業、この地区で最古。蔵を改装した和室が残る
3 松本丸の内ホテル 長野・松本市大手 89 90 ¥34–¥50k 松本城三の丸に建つ唯一のホテル。朝食は登録有形文化財の棟で
4 追分屋旅館 長野・松本市里山辺 88 14 ¥53–¥74k 美ヶ原温泉の14室。専用露天を備えた離れ家と自社ワイナリー
5 THE MACHIYA HOTEL TAKAYAMA 岐阜・高山市八軒町 87 14 ¥43–¥55k 現存する町家旅館を改装。宮川に張り出す一棟貸しの離れ
6 コンセプトホテル和休 富山・富山市宝町 86 60 ¥10–¥13k 玄関で靴を脱ぐ全室畳。富山駅南口から徒歩3分

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

1. 本陣平野屋 花兆庵 — 岐阜県高山市

高山陣屋と赤い中橋まで、それぞれ徒歩1分。城下町の芯にありながら、屋上の露天風呂だけが町から切り離されている一軒。

HotelPicks Score: 92 / 100  26室、旅館。

目安価格 ¥109,000–¥147,000 / 泊 (2名1室・通常期)


本陣平野屋 花兆庵 — 岐阜県高山市本町 · 高山陣屋前の通りに面した、灯りの入った玄関まわりの夜景
PHOTO: 本陣平野屋 花兆庵 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

高山という町の構造を、立地だけで説明してしまう宿である。徳川幕府の天領として177年間、代官所が置かれた高山陣屋まで徒歩1分。写真に必ず登場する赤い中橋も同じく徒歩1分。上一之町から上三之町へ続く古い町並みまで徒歩3分、宮川朝市まで徒歩7分。つまり滞在中、この町の主要な場面がすべて徒歩圏に収まる。加えて屋上には町の稜線を見渡す露天風呂があり、日中の人出から夜の静けさへ切り替わる瞬間を、湯のなかから眺めることができる。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、この宿への評価は「料理」と「接遇の細やかさ」の二点に集中して分布する。飛騨牛と寿司の双方に触れる感想が多く、食事内容そのものが滞在の目的として語られる傾向が強い。海外からの利用者の評価も安定して高く、言語対応よりも所作の丁寧さが好意的に受け止められている様子が読み取れる。一方で価格帯に関する言及は分かれており、この宿を選ぶ判断は明確に予算の合意を前提としている。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    高山を旅程の中心に据える2泊以上の滞在、記念日を兼ねた大人2人の旅、和の様式を食事から体験したい海外からのリピーター
  • 向かない:
    宿泊費を抑えて周遊に予算を回したい旅程、宿は寝るだけと割り切る短時間滞在、夕食の時間を自由に組みたい人

具体情報

  • 最寄り駅: JR高山駅から徒歩10分(車3分)
  • 周辺: 高山陣屋・赤い中橋まで徒歩1分、古い町並み徒歩3分、宮川朝市徒歩7分
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 飛騨牛を軸にした会席。館内に寿司処を併設
  • 風呂: 屋上露天風呂。エステ施設「りらっくす蔵」を併設
  • 駐車場: 50台・無料(到着時にスタッフが回送)
  • 言語: 公式サイトに英語ページあり


2. 旅館 田邊 — 岐阜県高山市

1934年創業、この地区で最も長い歴史を持つ22室。蔵を改装した和室が、いまも客室として使われている。

HotelPicks Score: 90 / 100  22室、旅館。

目安価格 ¥75,000–¥95,000 / 泊 (2名1室・通常期)


旅館 田邊 — 岐阜県高山市相生町 · 簾を下ろした本館の廊下。木製建具と行灯の灯りが続く
PHOTO: 旅館 田邊 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

高山本線の全線開通を機に、製糸業から旅館業へ転じたのが1934年。以来この地区で最も長く営業を続けている宿である。歴史の長さが選定理由になるのは、それが建物の形として残っているからだ。築100年を超える本館には、蔵を改装した和室や、飛騨の伝統技法でケヤキを組み上げた和洋室が現存する。2009年開業の新館「遊墨庵」には半露天風呂付きの特別室が置かれ、古い建物を保存したまま新しい設備を足す、という運営の方針が明快に読み取れる。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、評価は建物の意匠と食事に厚く分布する。飛騨牛と、富山湾から直送される魚介を組み合わせた会席への言及が多く、山の宿でありながら海の素材が並ぶ構成が印象として残りやすい。海外からの利用者では、客室での食事提供と、色浴衣を選べる仕組みへの反応が目立つ。一方で建物の古さに起因する設備面の指摘も一定数あり、この宿を選ぶことは「新しさより時間の層を取る」という選択に近い。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    木造建築そのものを目的にする旅、客室で静かに食事をとりたい2人旅、日本の旅館様式を二度目・三度目として深く見たい海外からのリピーター
  • 向かない:
    最新設備の均質さを求める人、大浴場の規模を重視する旅程、洋食中心の食事を望む人

具体情報

  • 最寄り駅: JR高山駅から徒歩約10分。古い町並み・高山陣屋まで徒歩約5分
  • 創業: 1934年(昭和9年)。2024年に創業90周年
  • 客室: 半露天風呂付き特別室、蔵を改装した和室ほか。本館・新館「遊墨庵」の2棟構成
  • 食事: A5等級の飛騨牛と富山湾直送の魚介による会席。原則として客室内で提供(人数・プランにより個室)
  • 風呂: 大浴場に岩風呂と檜風呂。屋外に信楽焼の露天風呂
  • 駐車場: 1室につき1台・無料(事前予約制)
  • 言語: 公式サイトに英語ページあり


3. 松本丸の内ホテル — 長野県松本市

国宝・松本城の三の丸地区に建つ唯一のホテル。朝食は1937年築の登録有形文化財の棟でとる。

HotelPicks Score: 89 / 100  90室、シティホテル。

目安価格 ¥34,000–¥50,000 / 泊 (2名1室・通常期)


松本丸の内ホテル — 長野県松本市大手 · 1937年築のレストラン棟(旧日本勧業銀行松本支店)を夕景でとらえた外観
PHOTO: 松本丸の内ホテル — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

松本城の天守へ向かう登城道、大名町通り。かつて武家屋敷が並んだ三の丸地区の中心に、このホテルは立つ。城内に位置する宿はここだけである。さらに決定的なのがレストラン棟で、1937年に日本勧業銀行の支店として建てられ、2003年に銀行としての役目を終えたのち取り壊しの危機に瀕し、近隣住民の保存運動によって残された建物だ。2007年に登録有形文化財へ指定され、いまはバンケットホールとして使われている。城下町の記憶が二重に折り重なった場所で朝を迎えられる、という一点で選んでいる。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、評価の重心は明確に朝食と立地にある。文化財の空間で和洋のビュッフェをとるという体験そのものが、記憶に残る要素として繰り返し語られる傾向が読み取れる。松本城まで歩いて向かえる距離感への評価も高く、朝の開門直後に天守へ向かう動線が組めることが利点として受け止められている。一方で建物の年代に由来する客室設備への言及も見られ、新築ホテルの均質さを期待する層とは評価が分かれる。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    松本城を朝一番に見たい旅程、近代建築や保存の経緯に関心がある人、和食と洋食の両方を選びたい海外からの旅行者
  • 向かない:
    温泉を滞在の主目的にする旅、車で到着してすぐ駐車したい旅程(駐車場は4か所に分散し予約制)

具体情報

  • 最寄り駅: JR松本駅から路線バス5分、大名町(八十二銀行前)下車徒歩1分
  • 客室サイズ: エグゼクティブツインで42㎡・54㎡の2タイプを用意
  • 朝食: 登録有形文化財のバンケットルームで和洋ビュッフェ。素泊まり利用でも1名2,550円で利用できる
  • 夕食: 館内レストランで和洋折衷のフレンチコース。17:30〜21:30(L.O.19:30)、完全予約制
  • 建築: レストラン棟は1937年築、2007年に登録有形文化財
  • 駐車場: 1泊1台1,000円(税込)、予約制。14:00〜翌12:00


4. 追分屋旅館 — 長野県松本市(美ヶ原温泉)

松本城から車で10分、1300年余の歴史を持つ湯の集落に14室。専用露天を備えた離れ家がある。

HotelPicks Score: 88 / 100  14室、温泉旅館。

目安価格 ¥53,000–¥74,000 / 泊 (2名1室・通常期)


追分屋旅館 — 長野県松本市里山辺・美ヶ原温泉 · 石灯籠と苔を配した坪庭に面した和室と縁側
PHOTO: 追分屋旅館 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

松本の城下町に泊まる選択肢は多いが、城下町から10分だけ離れて泊まるという選択肢は限られる。美ヶ原温泉は奈良時代から1300年余の歴史を伝える湯の集落で、松本市街の喧噪からは完全に切れている。14室という規模も効いている。廊下ですれ違う人数が少ないほど、湯と食事の時間は静かになる。専用露天風呂を備えた離れ家「湯らく亭」を持ち、信州の旬をあつめた懐石風の献立を組む。松本民芸館まで車5分という位置関係も、この宿の性格を説明している。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、湯の質と食事、そして規模の小ささに由来する静けさへの評価が揃って高い。松本市街の観光と温泉滞在を1泊で両立させる使い方をした人からの反応が特に安定しており、「城下町の宿の代替」ではなく「もうひとつの目的地」として受け止められている傾向が読み取れる。館内の段差や導線に触れる指摘も一定数あり、歩行に不安がある場合は事前確認が要る。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    松本観光と温泉を1泊で両立させたい旅程、静けさを最優先する大人2人の旅、ワインを旅の主題に置く人(周辺に複数のワイナリー)
  • 向かない:
    夜も街に出て食事や酒を楽しみたい旅程、公共交通のみで細かく動きたい人(市街へは路線バスまたは車)、大浴場の規模を重視する人

具体情報

  • アクセス: JR松本駅から路線バス。国宝松本城まで車約10分、中町通り・縄手通りまで車約15分
  • 温泉: 美ヶ原温泉。奈良時代から1300年余の歴史を伝える湯
  • 客室: 14室。専用露天風呂を備えた離れ家「湯らく亭」を含む
  • 食事: 信州の旬素材を用いた懐石風の献立
  • 周辺: 松本民芸館まで車約5分、山辺ワイナリーまで車約5分。自社ワイナリーを運営
  • 駐車場: 35台・無料
  • 言語: 公式サイトに英語ページあり


5. THE MACHIYA HOTEL TAKAYAMA — 岐阜県高山市

高山に現存していた町家旅館と町家を改装した14室。離れの一棟貸しは宮川に張り出している。

HotelPicks Score: 87 / 100  14室、町家ホテル。

目安価格 ¥43,000–¥55,000 / 泊 (2名1室・通常期)


THE MACHIYA HOTEL TAKAYAMA — 岐阜県高山市八軒町 · 宮川に張り出したテラス席から見る高山の家並みと浅瀬
PHOTO: THE MACHIYA HOTEL TAKAYAMA — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

高山市内に現存していた町家旅館と町家を改装して生まれた宿である。新築で「町家風」を作るのではなく、実在した建物の骨格を残したうえで、浴室まわりに最新の設備を入れる——この順序が結果を分けている。客室はヒノキ風呂付きの坪庭デラックス・スイート、ロフト形式のデラックスルーム、そして一棟貸しの離れ「THE MACHIYA HANARE」まで幅がある。ラウンジからは坪庭、離れからは宮川。高山の水と庭が、客室の側から常に見えている。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、評価の中心は建物の意匠と清潔さ、そして静けさに置かれている。町家の構造を保ったまま水まわりを更新した点への反応が良く、伝統的な外形と現代的な使い勝手の両立が支持されている様子が読み取れる。海外からの利用者比率が高い宿でもあり、英語での案内体制への言及も安定している。開業から日が浅く公開レビューの母数は他の5軒より小さいため、スコアはやや保守的に算出している。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    町家建築そのものに泊まりたい人、夕食を町の店で自由に選びたい旅程、家族やグループで一棟を借り切りたい滞在
  • 向かない:
    夕食付きの旅館様式を求める人、大浴場での入浴を重視する旅程(風呂は客室内および貸切)、館内で長時間過ごしたい滞在

具体情報

  • 最寄り駅: JR高山駅からすぐ(徒歩圏)
  • 開業: 2021年8月。現存していた町家旅館・町家を改装
  • 客室: 一棟貸しの離れ、ヒノキ風呂付きスイート、ロフトルーム、坪庭付きルームなど
  • 食事: 飛騨高山の食材を集めた朝食。夕食は町なかの店を利用する前提
  • 風呂: 貸切風呂を用意。客室にヒノキ風呂を備えるタイプあり
  • 館内: ティーラウンジ、坪庭。案内類は木の廃材を使ったQRコード式でペーパーレス化
  • 言語: 公式サイトは日本語・英語


6. コンセプトホテル和休 — 富山県富山市

玄関で靴を脱ぎ、畳の客室で過ごす。富山駅南口から徒歩3分、この価格帯で和の様式を保った一軒。

HotelPicks Score: 86 / 100  60室、和風シティホテル。

目安価格 ¥10,000–¥13,000 / 泊 (2名1室・通常期)


コンセプトホテル和休 — 富山県富山市宝町 · 自在鉤に魚を吊るした囲炉裏カウンターのある和の食事処
PHOTO: コンセプトホテル和休 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

富山は、この三都周遊の起点にも終点にもなる。北陸新幹線で首都圏から2時間強、高山本線の特急で高山まで1時間半という位置は、旅程設計上ほとんど無二である。その富山駅南口から道路を渡らずに徒歩3分という距離に、玄関で靴を脱いで畳の客室に上がる宿がある。館内には自在鉤を下げた囲炉裏形式のカウンターが置かれ、大浴場も備える。移動日の一泊を機能で選びながら、様式を手放さずに済む——その一点で6軒目に加えた。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、評価は立地の近さと、畳の客室という設えの意外性に集まる。駅からの距離が短く、荷物を持った移動が最小で済む点への反応が強い。海外からの利用者では、この価格帯で靴を脱いで過ごす様式を体験できることへの好意的な受け止めが読み取れる。一方で客室そのものは機能本位のつくりで、滞在を楽しむ場としての厚みは他の5軒に及ばない。役割を分けて使う宿である。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    高山・松本へ抜ける前後の移動日の一泊、荷物が多い鉄道移動、宿泊費を抑えて食事や体験に予算を回したい旅程
  • 向かない:
    宿そのものを滞在の目的にする旅、夕食を館内でとりたい人、広い客室を求める旅程

具体情報

  • 最寄り駅: JR富山駅南口(正面口)から道路を渡らず徒歩3分
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 客室: 全室畳敷き。玄関で靴を脱いで過ごす形式
  • 館内: 大浴場、囲炉裏形式のカウンターを備えた和の食事処
  • 駐車場: 普通車10台・予約制
  • 周辺: 富山県美術館・富岩運河環水公園まで約15分。富山空港から車20分
  • 言語: 公式サイトに英語ページあり


よくある質問

Q. ベストシーズンはいつですか?

A. 高山も松本も内陸の高地にあり、7〜8月は昼が涼しく夜が冷えるという、日本の夏としては例外的な気候になります。ただし訪日客の第2ピークと重なるため価格は上がり、日中の古い町並みは混みます。静けさを条件の第一に置くなら、編集部が推すのは6月上旬と9月下旬です。梅雨入り前の6月は緑が最も濃く、9月下旬は空気が澄み、いずれも価格が落ち着きます。

Q. 予約のタイミングは?

A. 客室数が14〜26室の宿(花兆庵・田邊・追分屋・THE MACHIYA HOTEL TAKAYAMA)は、7〜8月と紅葉期の週末について3〜4か月前から埋まり始めます。特に離れや露天風呂付きの特定タイプは半年前に動くこともあります。平日と週末では目安価格に1万円前後の差が出るため、日程に自由があるなら火〜木の連泊が有利です。

Q. 三都はどう回るのが現実的ですか?

A. 鉄道で完結します。首都圏からは北陸新幹線で富山まで約2時間、富山から高山本線の特急で高山まで約1時間30分。高山から松本へは濃飛バス・アルピコ交通の直行便で約2時間30分(季節運行のため要確認)、松本からは中央線特急で新宿まで約2時間40分。名古屋を起点にする場合は、名古屋から高山まで特急で約2時間25分です。2泊3日なら高山2泊+松本1泊、あるいは富山1泊+高山1泊+松本1泊の3泊が組みやすい形です。

Q. 子連れでも泊まれますか?

A. 6軒とも家族での宿泊自体は可能ですが、性格は大きく分かれます。一棟貸しの離れを持つTHE MACHIYA HOTEL TAKAYAMAと、客室数が多く洋室中心の松本丸の内ホテルは、子ども連れの旅程に組み込みやすい構成です。一方で花兆庵・田邊・追分屋は落ち着いた滞在を前提とした設えで、木造建築ゆえの段差もあります。年齢や人数によって条件が変わるため、予約前に直接確認するのが確実です。

Q. 英語や多言語での対応は?

A. 6軒すべてが公式サイトに英語ページを持ち、うち高山の3軒は海外からの利用比率が高い宿です。食事に関するアレルギー確認を事前フォームで受け付ける宿もあり、旅館様式の食事に不慣れな旅行者への配慮は進んでいます。ただし館内での会話が常に英語で完結するとは限らないため、細かな要望は予約時に文面で伝えておくと確実です。

Q. 温泉に入れるのはどの宿ですか?

A. 温泉として明確なのは、飛騨高山温泉を引く旅館 田邊と、美ヶ原温泉に位置する追分屋旅館です。本陣平野屋 花兆庵は屋上に露天風呂を備え、町並みを見下ろす入浴ができます。THE MACHIYA HOTEL TAKAYAMAは貸切風呂と客室のヒノキ風呂、コンセプトホテル和休は大浴場という構成で、いずれも温泉地の湯とは性格が異なります。

本記事の参考情報

飛騨高山観光公式サイト — 高山市の観光・イベント情報
松本市公式観光サイト「松本旅のしらべ」 — 松本城・城下町の基礎情報
富山県観光公式サイト「とやま観光ナビ」 — 富山県内の交通・観光情報

編集部から

6軒に通底しているのは、建物が土地の来歴を保存しているという一点である。天領の代官所前に立つ本陣、90年続く木造旅館、銀行として建てられ住民の運動で残った文化財、1300年の湯、実在した町家、そして駅前で靴を脱がせる宿。どれも「和の雰囲気を演出した」のではなく、その形になる理由が先にあった建物である。静けさを求める旅行者が最終的に反応するのは、演出ではなくこの必然性のほうだと編集部は考えている。次は同じ視点で、飛騨古川・郡上八幡・木曽路といった、さらに規模の小さい町の宿を追いたい。三都のうち、あなたはどこを起点に組むだろうか。

次に読むなら